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コーヒーのこと

長い長いコーヒーの名前①

2019年05月29日

最近のコーヒーの名前、いわゆるコーヒー店で販売されている商品名はとても長くなりました。

横文字の見慣れない長い商品名が並ぶことで、自宅でコーヒーを飲む生活を始めたくてもとっつきにくくなってしまった方や、よくわからず買い悩んでしまう方の気持ちもよくわかります。

今日はその長い名前の商品名が生まれた理由についてご紹介します。
コーヒーを選ぶ時の戸惑いや迷いが、少しでも楽になれば嬉しいです。

河合佑哉

Yuya Kawai

横文字の長い名前の商品名は主にストレートコーヒー(別名:シングルオリジン)と呼ばれる単一銘柄のコーヒーに使用されます。

単一銘柄といってもひと昔前には「ブラジル」や「ガテマラ」といった、カタカナ数文字で収まっていました。

それが最近では当店の商品を例にとってみると
「ブラジル シティオ・ダ・トーレ イエローブルボン パルプドナチュラル」や、
「グアテマラ エル・インヘルト プライベートオークションロット パロゴルド パカマラ ナチュラル」
といったように、聞き慣れない方には途方にくれるくらい長い横文字の商品名になっています。

こうした背景には「供給ルートの変化」と「トレーサビリティの確立による品質向上」が影響しています。

「供給ルートの変化」

もともとカタカナ数文字の商品名で済んでいた頃は、生産者にも商品開発や流通のノウハウがなく、自前の農園で採れたコーヒーチェリーは全てコーヒーチェリーの仲買人に販売することで報酬を受け取っていました。

そしてその仲買人は、他の農家からも集めてきたコーヒーチェリーを全てひとまとめにして、現地の農協や輸出業者に販売するという役割を担ってきました。
(その後、輸出業者は日本の輸入業者や商社へ販売。)

そのため消費国のコーヒー専門店でも「ブラジル」、「グアテマラ」といった生産国名の商品名でしか表記されていませんでした

当時にしてみれば「果肉をむいて、乾燥させる」といった収穫後の生産処理技術を持っていない生産者が、「トラックで農協までコーヒーを運ぶ」といった物流などのインフラの整っていない生活事情の中で、チェリーをその場で買い取ってくれて、即日の現金収入をもたらしてくれる仲買人は持ちつ持たれつの仕事仲間と言える存在でした。

(コーヒー農園は車も立ち入れないような場所にあることが多い。)

このままサプライチェーンの全ての人々が良好な関係のままで進んでいけばいいのですが、そうはいきませんでした。

コーヒーの売買価格はオレンジや小麦と同様に先物相場をベースに価格が決まります。
豊作不作といったコーヒー生産者側が納得できる価格決定要因だけでなく、投機などコーヒー農業とは全く関係のない理由でも売買価格が変動します。
世界各国の産業が高次元化していくにつれて、それぞれの国の経済情勢や政治情勢によって、コーヒーチェリーの売買価格が大きく変動してしまう時代に突入しました。

時代の変化によって、取引価格が大きく変動また仲買人の買い叩きも増えお互いの関係性も悪くなる中、ますます立場の弱くなっていく生産者たちは、なんとか相場の変動や買い叩きに影響されずにコーヒー農業を続けられないだろうかという思いの先に生まれたのが、「自分たちのコーヒーを自分たちの力で消費国に届けられないか」という希望であり、「価値のあるコーヒーを作って、自分たちの名前のついたコーヒーを直接消費国に向けて販売する」という供給ルートの変化への決断でした。

幸いにも農協や輸出業者側にも生産者の意向を酌むような歩み寄りや、そういった生産者を専門に取りまとめる輸出業者もでき始めました。

(収穫最盛期での一コマ。ピッカーが一日かけて収穫したコーヒーチェリーが一杯に入ったバッグが並べられ、待つのは仲買人のトラックではなく、自前の集荷トラック。)

こうした新しい風が吹き始める中、当初は「ブラジル 〇〇農園」という農園指定ロットから始まり、品種指定のロットなどと細分化が進んでいき、「供給ルートの変化」が横文字の長い商品名となって消費者の手元まで届くようになりました。

その結果、生産者は先物相場ベースの価格に自分たちの付加価値を上乗せした価格で報酬を受け取れるようになりました。

(日本に届くコーヒー生豆の箱にも、国名だけでなく農園名や品種名、生産処理方法も明示される。)

この後、指定ロットは生産処理指定ロットや農園内の区画指定ロットなどと、さらに細分化がすすんでいくのですが、そこには「トレーサビリティの確立による品質向上」といった側面も大きく影響してきます。

その話については次の回で。