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Interview

岩瀬由和
たった1杯のコーヒーが、
心を揺るがすことがある

2020年08月03日

 

福岡市内と東京に店舗を展開する〈REC COFFEE〉。オーナーバリスタの岩瀬由和さんは、2016年の「ワールド バリスタ チャンピオンシップ」で準優勝した世界トップクラスのバリスタのひとりです。抽出のプロフェッショナルが追い求める理想のコーヒーとは?

 

「本物」との出会いがコーヒーの世界に飛び込むきっかけに

2019年11月にオープンしたばかりの〈REC COFFEE〉浄水テラス店。ほかにも福岡市内に4店舗、東京都内に1店舗を構える。
浄水テラス店|福岡市中央区薬院4-13-60

 

――岩瀬さんがコーヒーの世界に進もうと思ったきっかけは?

もともとカフェでアルバイトをしていて、そこではじめてバリスタという仕事に触れ、スペシャルティコーヒーというものを知ったんです。当時はスペシャルティコーヒーが出回り始めてすぐの頃。初めて飲んだとき、「これこそが本物だ」と、直感したんですね。それまでもコーヒーは好きでしたし、味に慣れ親しんでもいましたが、雑味がなくてフルーティーで、これまで飲んでいたコーヒーとの違いに衝撃を受けて。コーヒーを自分の一生の仕事にしようと決めたのは、このときです。

しばらくしてから独立して、スペシャルティコーヒーを出す移動販売をスタートさせました。移動販売というと、カジュアルなイメージを持たれるかもしれませんが、当時から最高の原材料を使い、最高においしい1杯を淹れるんだという思いでやってきました。その頃からいつかは店舗を持とうと考えていて、移動販売を2年ほど続けたのち、2010年に初めての路面店をオープンしました。

〈REC COFFEE〉は専属パティシエが在籍しており、スイーツメニューも豊富。福岡市内にあるセントラルキッチンでつくられている。

 

――その後も順調に店舗を増やしていきました。

路面店をひとつ出してみると、〈REC COFFEE〉にとって、多店舗展開は必然的でした。店を続けていくと、ふたつの選択肢が生まれると思うんです。ひとつは、こだわり抜いたコーヒーを自分たちの手や目が届く範囲で出していくこと。もうひとつは、そうしたコーヒーをひとりでも多くの人びとに飲んでもらおうとすること。双方にそれぞれのやりがいや良さがあるんですが、〈REC COFFEE〉が選んだのは後者です。人によっては、コーヒーは単なる嗜好品のひとつに過ぎないかもしれませんが、僕らはスペシャルティコーヒーのおいしさをたくさんのお客さんに知ってもらうということに大きな魅力を感じていたんですね。

ドリンクやスイーツは季節の限定メニューも。トニックウォーターにエスプレッソが注がれた「エスプレッソトニック」は、すっきりとした飲み口で見た目もさわやか。「パッションフルーツのモンブラン」は、パッションフルーツに和栗、ラズベリーなど、食材同士のバランスが絶妙。いずれも浄水テラス店限定。

 

とはいえ、すべてのお客さんがスペシャルティコーヒーを飲めるからというだけでうちの店に来ていたわけではないと思うんです。コーヒーを飲む時間やくつろげる空間も求めているんですよね。ちょっとひと息つきたいときに気軽に立ち寄れて、おいしいコーヒーを飲めるような、お客さんの日常になくてはならない存在になれたらと思っています。コーヒーのことは詳しくないけれど、定期的に〈REC COFFEE〉に通っていたら、極上のコーヒーの味わいから離れられなくなった。そんなふうに感じてもらえたらと思っています。

 

――福岡市内に5店舗、東京に1店舗ありますが、お店ごとに特徴はありますか?

基本的にどの店舗も同じコンセプトでやっているのですが、自然とそれぞれの店に個性が生まれているように感じています。店のカラーをつくるのは、僕らじゃなく、お客さんや街です。「〈REC COFFEE〉は、こういう店です」と、先に僕らから提示してしまうよりも、このほうがより地域になじむんじゃないかと感じています。それに、先入観を持たずに来てもらって、素直にコーヒーの味わいを感じてもらいたいんですよね。僕たちがしていることは、カフェという場を準備して、おいしいコーヒーと素晴らしい接客サービスでもてなすことだけなんです。

ゆったりとした店内には、テーブル席のほか、ソファ席やテラス席も。思い思いの時間を過ごすことができる。

 

――〈REC COFFEE〉がめざしているものとは?

「おいしいコーヒーを飲んでもらいたい」という思いの先には、「コーヒーを通じた感動体験を届ける」ということがあります。1杯のコーヒーをご提供するまでには、実に多くの人が関わっているわけですが、バリスタの役割は、コーヒーづくりのアンカーとしてカップにおいしさを表現すること。バリスタは、コーヒーの表現者なんです。ただコーヒーを淹れるだけでなく、目の前にあるコーヒー豆が経てきた過程やストーリーを理解することにはじまり、コーヒーを飲むときの環境を整えたり、抽出というプロフェッショナリズムをお客さんに感じてもらったりと、周辺にあるあらゆる要素を含めながらコーヒーを届けたいと思っているんです。

 

――岩瀬さんはバリスタの競技会にも積極的に参加されてきました。

競技会には移動販売を始めた年から毎年のように参加していました。チャンピオンになることをめざしていたわけでなく、自分が淹れるエスプレッソのクオリティはどうなのかを知りたかったんです。同じような考えを持っているバリスタはたくさんいて、出場することで刺激を受けるし、自分のスキルもアップしていく。それを〈REC COFFEE〉のスタッフたちとシェアしていけば、店としても成長できる。「自分の淹れるコーヒーがいちばんおいしい」なんて、誰でも口ではいくらでも言えてしまうかもしれないんですけれど(笑)、それを裏付けるだけの知識や技術は絶対に必要です。

 

自分たちが知識や技術をアップデートするほどに、それまで以上に自信を持って〈REC COFFEE〉の味を表現できるようになったと思います。例えば、カフェラテはコーヒーを飲む人ならば誰もがなじみがある飲み物ですし、これまでにいろいろなお店のものを飲んできていて、味もよく知っていると思うんです。でも、うちのカフェラテを飲んで、原材料や抽出スキルが異なれば、これほどまでに味が変わるんだということをお客さんに気づいてもらえるようになった。コーヒーがさほど好きではなかったお客さんでも「こんなにおいしいものなんだ!」と、感じられるようになったり。お客さんの反応がいちばん率直ですし、お客さんにも、コーヒーにも、あらためて真摯に向き合っていこうと感じさせられました。

マグカップやタンブラーなど、オリジナルグッズも取り揃えている。白地にブルーのパターンが映える「Original KIKI Mug」は、ワイングラスのようなフォルムが特徴。コーヒーの香りを楽しめる。

 

生豆の選定や焙煎具合の基準は、おいしいエスプレッソが淹れられるかどうか

 

――2018年からは自家焙煎もスタートさせました。

それまではひたすら抽出を極めきたわけですが、生豆の選定や焙煎など、コーヒーの川上の部分にも携わるべきだと考えるようになったんです。結果、自分たちで生産地を訪れて生豆を買い付け、焙煎もするようになりました。〈自分たちが関わる工程を増やしていくことが、最終的には〈REC COFFEE〉の強みになったり、お客さんにもっと感動していただく道につながると思っています。

店内ではコーヒー豆の販売もしており、試飲も可能。「〈REC COFFEE〉は、なぜこのコーヒー豆を使おうとしているのか、なぜこうした焙煎にするのかについて、うちのお店に来てくださるお客さんのことを想像しながら、原材料の部分から関わりたいと思ったことも焙煎を始めたきっかけです」。

 

――「The Roast」も活用されているそうですね。

うちの焙煎所のサンプルロースターとして「The Roast Expert」を使っています。エスプレッソを抽出するための焙煎方法を高い精度で管理することができるので、重宝しています。もはや我々の相棒ですね。

これまで焙煎はプロの専売特許だったかもしれませんが、「The Roast」によって、家庭での焙煎にチャレンジしやすくなりましたよね。これは僕自身がひとりのコーヒーファンとして、とても嬉しいことなんです。焙煎したコーヒー豆を買って家で淹れる人もいれば、お店で飲むことが好きな人もいる。そして、「The Roast」でずっと手軽に自家焙煎ができるようになった。「The Roast」の登場でコーヒーの楽しみ方の軸が増えたと感じています。スペシャルティコーヒーへの間口を広げ、ファンをひとりでも増やすことは、必ず自分のお店にも返ってくると思っています。

 

――バリスタの経験を積んできたからこそ、焙煎にも〈REC COFFEE〉らしさが表れるのでは?

焙煎を専門としているロースターであれば、良い原材料を安定的に仕入れて、おいしく焙煎することに主眼を置いていると思うんです。でも、僕らの場合は少し違っていて、「こういうエスプレッソを淹れたいから、こういう原材料で、焙煎はこうで」といったように、エスプレッソで淹れたときにいちばんおいしい状態を想像しています。

「水出しコーヒーバッグ」は夏の人気商品。パッケージデザインは、どの商品もすべて〈REC COFFEE〉のスタッフが手掛けている。

 

エスプレッソは抽出の難易度が高いからこそ、おいしく淹れることはハードルも高い。焙煎によって、おいしく淹れられるストライクゾーンを広げてあげることは意識しています。こうすることで、誰が淹れても原材料の良さを引き出すことが容易になります。特にうちは多店舗展開しているので、それぞれのバリスタがおいしさを表現しやすくなりますし。

もうひとつ、エスプレッソを基準にすることがプラスに働くことがあります。ほかのロースターですと、お客さんが家でドリップコーヒーを淹れたときを想像することが多いと思うのですが、おいしいエスプレッソを淹れられるようにしておけば、ドリップで淹れるにしても、道具や水が違っても、おいしく淹れることができるものなんです。

エスプレッソは、同じ味を出すことすら難しいですし、「おいしい」の着地点がたくさんあるんです。〈REC COFFEE〉では、同じ味に淹れられることよりもお客さんに「おいしい」と感じてもらえることを大切にしています。ストライクゾーンを広くしておくというのは、こうした理由もあります。特にスペシャルティコーヒーは個性があるので、その個性をいかにお客さんの好みとリンクさせ、マッチングさせるかということがバリスタの腕の見せどころなんです。

 

――これまで多くのお客さんをもてなしてきた岩瀬さんですが、改めてコーヒーやバリスタという仕事の魅力とはなんでしょう?

バリスタはよく「ワインのソムリエみたいですね」と言われることも多いのですが、たしかにソムリエが料理やお客さんの心情とワインをマッチングさせるという点では、通じるところもあります。ただ、バリスタの仕事はもっとライブに近いのかなと思っています。なぜなら豆という固体のものが、わずか数分後には液体にしてしまうのですから。材料はコーヒー豆と水分だけですし、豆を挽くことに始まり、抽出して、お客さんにお出しするまでの過程には、どこかしらエンタテイメント性も感じさせますよね。究極のサービス業だと思っているんです。

浄水テラス店には福岡市内の書店「ブックスキューブリック」のセレクトによるライブラリーがある。

 

「おいしく抽出すること」と「おいしくすること」は、似ているけれども大きな差があって、コーヒー豆が持つクオリティ以上のおいしさは、液体で出すことができないのです。言ってみればバリスタは、豆のポテンシャルを液体としてスライドさせているだけなんですね。おいしいコーヒーがなぜおいしいかといえば、それは淹れる人の力量によるものだけでなくて、素晴らしい品質の生豆をつくる生産者や焙煎士がいるからこそ。バリスタは、橋渡し役に過ぎないんです。

では、バリスタがいちばんできることは何か。それは、お客さんに喜んでいただけるコーヒーや空間を提供していくことだったり、ホスピタリティ精神だったりするのかなと思っています。「ワールド バリスタ チャンピオンシップ」に出場したときも、勝ち残ってきたバリスタたちは誰もが皆、ハイレベルな抽出技術を持っていることは当然なのですが、最高のホスピタリティを届けたいという思いに溢れていました。まさにこうした姿勢が、〈REC COFFEE〉がめざす「感動体験」にもつながると思っています。

岩瀬由和 IWASE Yoshikazu
愛知県出身。レックコレクティブ株式会社代表取締役。大学卒業後に福岡県に移住し、福岡市内にあるコーヒーショップ〈manu coffee〉を経て、共同経営者の北添修氏とともに〈REC COFFEE〉を創業。2014年、2015年「ジャパンバリスタチャンピオンシップ」優勝、2016年「ワールドバリスタチャンピオンシップ」準優勝など、入賞多数。大会の審査員やセミナー開催をはじめ、後進の育成にも力を入れている。

 

写真:中村紀世志  取材・文:菅原淳子

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