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  •     鈴木康夫、田中聖仁 そのコーヒーカップのなかに、愛はある?

Interview

 
 
鈴木康夫、田中聖仁
そのコーヒーカップのなかに、愛はある?

2020年10月05日

 

バリスタの鈴木康夫さん、ロースターの田中聖仁さんが共同オーナーを務める〈TRUNK COFFEE〉。独自の喫茶文化が根付く名古屋の街に、スペシャルティコーヒー専門店として新しい風を吹かせています。

 

絶妙な「攻め」と「守り」のバランスで、コーヒーの新たな価値観を広げていく

店内の家具のほとんどは北欧のもの。高岳本店のほか、名古屋市内に2店舗、中国・深圳にも店舗を持つ。高岳本店|愛知県名古屋市東区泉2-28-24

 

――〈TRUNK COFFEE〉は、おふたりで経営されています。それぞれの役割分担は?

鈴木:自分はやりたいことをがんがんやっていて、基本的に自由なポジション(笑)。しいて言うなら、僕が「攻め」、田中が「守り」かな。

田中:そうですね、鈴木が〈TRUNK COFFEE〉のシンボル、僕はサポート役。

鈴木:田中とは会社の同僚だったんです。僕がコーヒーの店を出そうと考えたとき、共同経営者として真っ先に思い浮かんだのが田中でした。その頃、僕はすでにコーヒー業界にいましたが、田中は全くの未経験。でも、そのバランスがいいなと思ったんです。コーヒーの職人同士で店をつくっても、可能性が広がらないような気がしていたので。コーヒーの世界を追求していくだけでなく、ビジネスとして成立させるために、自分にはない視点を持つ人が必要だったんです。

鈴木さんが北欧で集めたマグカップコレクション。店内のインテリアのアクセントに。

 

田中:当時は会社勤めをしていましたが、退社して自分でビジネスを興そうかと考えていた頃にちょうど声を掛けてもらって。互いの人生の転機のタイミングも、うまくマッチしたんです。

鈴木とは不思議と縁があるんです。実は僕、以前はコーヒーよりも紅茶派で(笑)。鈴木は昔からコーヒー好きで、同僚時代はランチ後のコーヒーが彼の習慣だったのですが、何となくつられて僕も飲むようになって、だんだんコーヒーの味に目覚めていきました。僕とコーヒーとの距離を縮めるきっかけをつくってくれたのは鈴木だったんです。

 

――鈴木さんはデンマークや東京のカフェでバリスタとして活躍していましたが、生まれ故郷である名古屋に〈TRUNK COFFEE〉を開いたのはなぜでしょう?

鈴木:日本の喫茶店のコーヒーといえば深煎りが主流。昔から喫茶文化が盛んな名古屋も同様に、地元の人びとはその味に慣れ親しんでいます。

〈TRUNK COFFEE〉はスペシャルティコーヒーの専門店ですが、お店を立ち上げた頃、スペシャルティコーヒーはそれほどメジャーなものではありませんでした。名古屋の人はどこか保守的なところがあって、新しいものに飛びつくというよりは、これまでのものを大切にする傾向がある。だからこそ、この地でスペシャルティコーヒーを広げていければ、自分たちが名古屋の新しいコーヒー文化をつくることができると思ったんです。

旅行会社を退社後、マルタ共和国に4年ほど暮らしていた鈴木さん。「現地では景色を眺めながら自分で淹れたコーヒーを飲む時間が至福のひとときでした。バリスタをめざしたのは、マルタでのこうした暮らしがきっかけ」。その後、デンマークでバリスタ修行を積んだ。

 

――どのように切り開いていったのですか?

鈴木:どうだろう、できているのかな(笑)。でも、いちばんは自分たちが胸を張って出せるものをつくること、これに尽きます。

田中:浅煎りで、飲みやすくてすっきりとした味わいや香りが〈TRUNK COFFEE〉の定番。名古屋の人びとにおなじみの深煎りの味わいに対抗しようとしたのではなく、僕たちが表現したいおいしいコーヒーを追求した結果がこれだったんです。今まで店を続けてこられたのは〈TRUNK COFFEE〉の味に共感してくださるお客さまのおかげ。喜んでくれる人がいてくれるからこそ、これからもずっとうちの味を守り続けていかなきゃいけないという責任があると思っています。

 

鈴木:カップのなかのコーヒーやコーヒー豆だけでなく、バリスタもロースターも、この店で働く人間はみんな〈TRUNK COFFEE〉らしさを示す存在。スタッフ全員がプロとしての意識をしっかり持ってお客さまとコミュニケートすることは、ずっと大切にしてきました。

〈TRUNK COFFEE〉を立ち上げて6年が経ちましたが、僕らが名古屋に新しいコーヒーの風を吹き込めたかといったら、まだまだかもしれない。だけど、うちのスタッフたちが高い意識を持ってやってくれているおかげで、支持してくださるお客さまが着実に増えていることを実感しています。

 

――「The Roast」をスタッフのトレーニングとして活用されているそうですが。

鈴木:うちではサンプルロースターとしてではなく、普段からスタッフが誰でも使えるようにしているんです。〈TRUNK COFFEE〉というブランドの制約を外して、スタッフ一人ひとりが自由に焙煎してみると、新たな発見がたくさんある。個人のグレードアップ、知識や経験にもなるし、それがお店にもリターンされて、お客さまにも還元できる。そういった意味で「The Roast」は、コスパ最強です(笑)。

田中:お店の焙煎機だと、思い切った調整はなかなかしにくいのですが、「The Roast」は少量から焙煎できますし、挑戦できる幅が圧倒的に広がりましたね。実際に、そこからお店の焙煎機に理論や実績を当ててみて、検討するきっかけが増えました。

名古屋の喫茶店といえば「モーニング」が有名だが、〈TRUNK COFFEE〉にはない。「コーヒーを目当てに来てほしい」という思いがあるからだ。

 

スペシャルティコーヒーを多くの人に知ってもらうには? 〈TRUNK COFFEE〉の挑戦

――カップやドリッパーなど、〈TRUNK COFFEE〉はオリジナルグッズが充実しています。

鈴木:コーヒーはコミュニケーションツールだと思っているんです。人やモノ、場所だったり、何とでも柔軟につながることができるから。しかも、どの国の人びともコーヒーというものの味を知っていて、世界共通認識がある飲み物です。せっかく地元で〈TRUNK COFFEE〉を立ち上げたのだから、近隣地域の産業ともコラボレーションしながら名古屋をコーヒーで世界に発信していきたいと思ったんです。「絶対に世界を取ってやる!」って決めてました(笑)。

田中:飲み物としてのコーヒーや焙煎にフォーカスするだけでなく、従来のコーヒーにプラスアルファして新しい価値観を提供しているあたりも〈TRUNK COFFEE〉らしさかなと思っています。それを実現に導いてくれるのが、鈴木の発想力や行動力。「ORIGAMI Dripper」なんかも、従来のコーヒー道具にはないデザインで。

「ORIGAMI Dripper」は全11色。コーヒー抽出の世界大会「World Brewers Cup 2019」のチャンピオンが大会で使用したことから、世界各国のバリスタからも注目を集めている。

 

鈴木:これ、おかしなかたちをしているでしょう? 色もカラフルで「こんなドリッパー、ある?」みたいな(笑)。職人としてはプロダクトの質や機能性は大切だし、おいしく淹れるには欠かせない部分ではあるのですが、消費者目線でいくと、ビジュアルの良さも絶対にはずせないポイントだと思っていて。

〈TRUNK COFFEE〉を立ち上げる前、東京のお店で働いていたんですが、当時からスペシャルティコーヒーを広めるにはどうしたらいいかを考えていたんです。それで思いついたのが「若い女性にもコーヒーを好きになってもらいたい」。その層にコーヒーがリーチできたら、カルチャーとして広がっていくんじゃないかと思ったんです。コーヒー周りの道具は武骨で男性的なデザインだったりしますが、女性が「かわいい」と思えるような道具をつくりたい、と。

 

――味わってもらうだけでなく、グッズを通じてスペシャルティコーヒーを知ってもらおうとしたのですね。

田中:「〈TRUNK COFFEE〉の味はこうです」「焙煎にはこうしたこだわりを持っています」といくら言っても、コーヒーは嗜好品なので、もっと広げていこうとしても、どうしても限りがあるんです。飲んでもらうだけでなく、カップやドリッパーなどをまずは手に取っていただけたら、それが入口になるかもしれません。

鈴木:〈TRUNK COFFEE〉のファンを増やすことはもちろんだけれど、スペシャルティコーヒーというものに出合うきっかけをもっと増やしていきたい。もともとスペシャルティコーヒーを好きだった人だけを対象にするのでなく、まだ出合っていない人にも向けることは、マーケットを広げることにもつながっていきますから。

 

――鈴木さんはデンマークでバリスタ修行を積みました。〈TRUNK COFFEE〉を営むうえで、当時の経験はどのように影響していますか?

鈴木:「やるなら世界最高峰の国で!」と思ってデンマークに渡り、飛び込みで修業先を探しましたが、最初は全く相手にされなかったんですよ。「そんなに働きたいなら日本料理屋や寿司屋を紹介するよ」なんて言われるんですけれど、「違うんだ、俺はバリスタになりたいんだ」って言って(笑)。ようやく「5日間だけ教えてやるよ」と、あるカフェに拾ってもらえて。で、6日目以降も勝手に通って、そのまま働けるようになりました。

そのカフェは本当にローカルなお店で、他店よりもずば抜けていたわけでもない。ただ、コーヒーが淹れるときにいつも言われていたことがあるんです。「そこにちゃんと愛を入れたか?」「愛を入れることを忘れていないか?」と。

 

コーヒーの抽出って、すごくロジカルなものなんです。でも、どれだけ理論に忠実でも、そこに愛がなければ絶対においしくならないし、愛があればこそ、緻密に計算しておいしく淹れようと努力できる。お客さまに喜んでもらうために。

コーヒーに向き合うとき、常に「愛の在りか」に立ち返ることは、僕の軸であり、〈TRUNK COFFEE〉の原点でもありますね。

 

――〈TRUNK COFFEE〉のキーワードは「愛」なのかもしれませんね。

鈴木:そうですね。正直、今回のコロナ禍はかなりの強敵で、店がだめになってしまう可能性もありました。だったら、最後ぐらいは社会の役に立ちたいと思ったんです。医療器具や物資の支援は盛んに行われていて、それはもちろん有意義なものだけれど、保育園や病院など、最前線で働く人びとの心を安らげるための支援をしたい、と。そうして立ち上げたのが「コーヒーで安らぎを届けようプロジェクト」でした。

おかげさまでたくさんの方が賛同してくださって、〈TRUNK COFFEE〉なりの社会貢献モデルができたと思っています。支援先の施設のみなさんが来店してくださったりと、リアクションも大きくて。それから、このプロジェクトのことを知った保育士の方が、ご本人は支援を受けていないのに、お礼のお手紙を送ってくださったこともありました。なんだか僕らのほうが励まされました。

僕らの「愛」が届いているのかもしれないと、素直に嬉しかったですね。コーヒーにできることや新たな可能性も見出せたと思っています。これからもコーヒーを介して、新しいことをやっていきたいですね。

 

鈴木康夫 SUZUKI Yasuo
コーヒー先進国であるデンマーク・コペンハーゲンのカフェで修業を積み、現地で日本人初のバリスタに。2012年に帰国し、ノルウェー発のカフェ「FUGLEN」東京店のオープンに参画。ヘッドバリスタを務める。2014年、TRUNK COFFEEを設立。

田中聖仁 TANAKA Kiyohito
大手旅行会社勤務を経てTRUNK COFFEE共同オーナーに。鈴木氏と共にコーヒーの可能性を枠にとらわれず創造し、新しいモノ・価値を名古屋から提案・発信する活動を展開。

 

写真:中村ナリコ  取材・文:菅原淳子

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