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Interview

阪田正邦
コーヒーで社会を変える、未来をつくる

2020年11月05日

 

焙煎人になってわずか2年で「ジャパンコーヒーロースティングチャレンジ(JCRC)2019」で優勝し、日本チャンピオンとなった〈KOTO COFFEE ROASTERS〉の阪田正邦さん。次なる目標は世界一の焙煎人になること。世界大会に向けて、焙煎に明け暮れる日々を過ごしています。

 

サステナブルなビジネスのあり方に惹かれて

オープン当初は奈良県橿原市に店舗を構えていたが、2020年2月に奈良県五條市に移転し、現在は主にオンラインで販売している。

 

――阪田さんがスペシャルティコーヒーに興味を持ったきっかけは?

スペシャルティコーヒーに出合ったのは、2009年頃のこと。僕の場合、最初はコーヒーの味ではなく、スペシャルティコーヒーというもののビジネスモデルに興味を持ちました。ご存じのように、コーヒー生産国のなかには貧困問題を抱えているところも多いのですが、スペシャルティコーヒーは、中間業者なしに直に生産者から買い付けるダイレクトトレードという方法で取引することもできます。

僕は20代の頃、バックパッカーだったんです。本当にいろいろな国を旅して、80か国ぐらいはまわりました。当時、開発途上国にも訪れたのですが、現地の人びとが貧困にあえぐ光景を目の当たりにしたんです。なんとかしてこの人たちを助けたいけれど、でも、自分には何もできない。すごくもどかしかったです。こうした思いはそれからもずっと、自分の心のどこかに残り続けていました。

生産者は良いものをつくれば正当な評価や対価を得られるし、消費者は高品質でおいしいコーヒーを飲むことができる。自分もスペシャルティコーヒーに携わり、旅先で出会ったような貧しい人びとを少しでも支えていきたいと考えました。

山中にある古民家を改装して焙煎所にした。「日本チャンピオンになったとき、自分は一生焙煎をしていくだろうと思いました。現在の場所に移ってから、以前にも増してじっくりと焙煎に向き合うことができています」。

 

――味わいよりも先に、サステナブルなサイクルに惹かれたのですね。

そうですね。実は僕、コーヒーの味にはそれほどこだわりがなかったんです。旅をしていた頃、コスタリカに暮らす友だちに会いに行くことがあったのですが、「コスタリカといえばコーヒーだから、出発前に東京のおいしいコーヒー屋さんを巡ってみよう」と、ふと思い立って。有名なお店をはしごして飲んでみたのですが、僕にはおいしさが分からなかった(笑)。

その日は10店ほどまわったのですが、最後に訪れた練馬の上石神井にある〈MAMMOTH COFFEE〉さんでいただいたコーヒーが驚くほどおいしかったんです。これがスペシャルティコーヒーのおいしさをはじめて知ったときでした。

その味わいにすっかり感激して「この豆はどこで買い付けているんですか?」と聞いて。練馬の地下鉄赤塚にある〈さかい珈琲〉さんだったのですが、その日のうちに行かせていただいたんです。「僕、明日からコスタリカに行くんですけれど、現地で生豆を買えますかね?」「いや、君、それは無理だよ、ひとつのコンテナで約1千万円もするんだよ」なんて、いろんな話をさせてもらって。

 

――それから焙煎人の道へ?

はじめは生豆バイヤーとして起業しようと思っていました。サプライチェーンのどのプロセスにおいても、味を吟味できなくてはなりませんし、正当な価格をつけることができません。それで、まずはカッピングを勉強することから始めたんです。

〈KOTO COFFEE ROASTERS〉で販売されているラインナップは中浅煎りから中深煎りのものが中心。「誰が飲んでもおいしいと感じてもらえる味づくりを意識しています」。

 

カッピングでは、コーヒーの風味の良さや欠点は、生豆由来なのか、それとも焙煎由来なのかまで判断する必要があるわけですが、自分でも実際に焙煎してみれば、もっと見極められるようになるんじゃないかと思って、サンプルロースターを手に入れて。これが焙煎を始めたきっかけですね。それから、生豆バイヤーは個人でやろうとすると、現地の人びととのやりとりや費用面などで、ハードルがかなり高いんです。生産者と消費者の橋渡し役という意味ではサプライチェーンの一つ風下の「焙煎」というポジションも変わりはありませんから、本格的に焙煎に取り組んでいこうと思うようになりました。

 

僕が世界一の焙煎人をめざす理由

――焙煎は独学だったそうですね。

焙煎をしていて何がコアになるかといえば、僕はカッピングだと思っているんです。焙煎をして、それをカッピングして、駄目な部分があれば原因を突き止めて改善していく、ひたすらこれの繰り返しなんですね。

 

もうひとつ、焙煎スキルを飛躍的に伸ばすことができた機会があって、それは世界大会に出場するような方々の焙煎を間近にしたことでした。〈KOTO COFFEE ROASTERS〉で使っている焙煎機は世界大会でも使われるオランダのギーセン社製のものなのですが、〈いつか珈琲屋〉の近藤啓さん(2016年JCRC優勝)や〈豆ポレポレ〉の仲村良行さん(2017年JCRC優勝、2018年WCRC準優勝)、〈ROKUMEI COFFEE CO.〉の井田浩司さん(2018年JCRC優勝)が、世界大会に向けたトレーニングのために〈KOTO COFFEE ROASTERS〉に来て、うちの焙煎機を使ってくださっていたんです。

当時の僕は、焙煎に関してはまだまだ素人同然だったけれど、トップレベルの方々の焙煎を横で見させてもらったり、分からないことを質問させてもらったりして、実に多くのことを学ばせていただきました。

 

――阪田さんが日本一の焙煎人になる道を切り開いたのは、そうした環境も影響しているのでしょうか。

テクニックだけでなく、焙煎のトレンドだったり、大会ならではのノウハウを直に教えていただけたことも大きかったと思います。お店で売るときのおいしさと、競技会で勝つためのおいしさは、違っていたりしますから。

例えば、店頭で販売するための焙煎豆は、お客さんに購入してもらってから数週間からひとつきほどかけて消費されていくので、おいしさのピークを長めにしておくんです。それに対して競技会の場合、焙煎した翌日に評価されるので、それを加味しながら焙煎をコントロールします。

だけど正直、自分がチャンピオンになれたのは、本当にたまたまだと思っていて。今は堂々とチャンピオンだと言えるように、ひたすら研鑽を積んでいるところです。

 

――普段から「The Roast」も活用されているそうですが。

「The Roast」のメリットは、生豆の状態や環境に左右されることなく、プロファイル通りに仕上がってくれること。生豆の良し悪しを判断するときも、「The Roast」は焙煎の質が担保されていますから「こうした味になるということは、生豆が原因にあるんだな」といったように、見極めが容易です。特徴をつかめている生豆であっても、味づくりをするときに仮説を立てやすいし、冒険もできます。とても使い勝手がいいんです。

 

生豆の品質だけでなく、手元に届くまでのルートもサステナブルであるかを意識している。「焙煎前の生豆は自分でハンドピックするのではなく、現地の人にハンドピックしてもらった状態のものを仕入れるようにしています。そうしたほうが、生産者に対価を多く払ってあげられますから」。

 

僕はサンプルロースターも使っていますが、ときにブレてしまうこともあるんですね。ですから、補助として「The Roast」でも焙煎をして、カッピングをして同じように焼けているかを確かめることもあります。いわば、指針のようなものですね。

〈KOTO COFFEE ROASTERS〉は自分ひとりでやっているし、かなり奥まった場所にありますから、人と交わらないことも多くて(笑)。ともすれば自分の味覚がズレていってしまいます。それを防ぐ上でも「The Roast」は、なくてはならないものです。

焙煎所では常に「The Roast」がスタンバイ。「起動してからすぐに使えますし、片付けが簡単なところも気に入っています」。

 

――いよいよ世界大会と思っていた矢先、コロナ禍で大会が延期になりました。

モチベーションは全く下がっていないんです。僕のように経験が少ない人間にとっては、むしろチャンスですし、じっくりと腰を据えてトレーニングすることができています。

僕、本気で世界チャンピオンを狙っているんです。自分が考えるおいしさで戦うよりも、世界大会でおいしいと判断してもらえる基準をつかめたほうが勝てるのではないかと思っていて。それにはどうすべきかを考えた結果、いちばん詳しい人に教えを乞おう思って、〈Roast Design Coffee〉の三神亮さんにコーチをお願いしています。これまで世界大会に出場された方のほとんどは三神さんがサポートされていて、いわば、日本で一番焙煎の世界大会に精通している方なんですね。

 

――「note」では「世界大会に向けての焙煎プロファイル作り」として、三神さんとのやりとりやプロファイルを公開されています。

僕自身が教えてもらっている内容なので、公開してもいいのか、迷っていたのですが、三神さんは快諾してくれて。太っ腹ですよね(笑)。外的要因によってだいぶ味は変わってしまいますから、「note」に出している数値は参考程度にしかならないと思うのですが、論理的な部分では、共有できることがたくさんあるはずです。これから焙煎人を目指すみなさんや、次の日本チャンピオンを目指す焙煎人の役に立てれば嬉しいですし、日本のスペシャルティコーヒー業界を少しでも盛り上げていけたらという思いもあります。

焙煎所からの眺め。「きれいな場所で、きれいなコーヒーをつくりたかった。それに、ここはなんとなくコーヒー農園の風景に似ているんです。現地のことを思い浮かべながら焙煎しています」。

 

――もともとソーシャルビジネスとしてスペシャルティコーヒーの道に入った阪田さん。〈KOTO COFFEE ROASTERS〉を立ち上げて2020年で3年が経ちましたが、手ごたえは感じていますか?

本来であれば、僕がコーヒー豆をたくさん売れば売るほど生産者の方の利益になるので、店を大きくしていくことが正解だとは思うんですけれど、僕は個人でやれる範囲で最大限のことをしていきたいと思っています。

先にも言ったように、僕は絶対に世界チャンピオンになりたいんです。それはなぜかといえば、コーヒーを介して活動できるフィールドが世界中に広がりますし、今以上にコーヒーの生産国の人びとを支えるチャンスも増えるはずですから。

世界チャンピオンになったらやってみたいと思っていることのひとつが、生産国の人びとに僕が培った焙煎技術をお伝えして、現地の新しい産業を生み出すサポートをすること。コーヒー豆は、生産国から生豆の状態で輸出され、消費国で焙煎されています。でも、今はパッケージの技術も上がっていますから、生産国で焙煎したものを輸出すれば、その国の6次産業化に貢献できる可能性が十分にあるのです。現地の雇用を増やせるし、人びとの暮らしを良くしていけるかもしれません。

〈KOTO COFFEE ROASTERS〉として、これまでもお客さんにおいしいコーヒーをお届けすることはできていたかもしれませんが、生産国の人びとを支えることができているかと言ったら、まだまだこれからといったところです。今はとにかく世界トップを目指すのみです。

 

阪田 正邦 Sakata Masakuni
2017年6月、奈良県橿原市に〈KOTO COFFEE ROASTERS〉を開業。2020年2月、奈良県五條市に移転し、オンライン専門店に。ショップスローガンは「Chain Of Happiness from Seeds to Cup」。コーヒーに携わるすべての人を幸せにする「幸せの連鎖」を大切にしている。「ジャパンコーヒーロースティングチャンピオンシップ(JCRC)2019」優勝。

 

写真:花田梢  取材・文:菅原淳子

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