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  • 畠山大輝 一生、コーヒーと生きていく。 「ありがとう」と言われるよろこびを胸に

Interview

畠山大輝
一生、コーヒーと生きていく。
「ありがとう」と言われるよろこびを胸に

2021年02月17日

 

2019年におこなわれた、「ジャパンブリューワーズカップ」「ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ」、その両方で優勝し、史上初の2冠に輝いた<Bespoke Coffee Roasters>の畠山大輝さん。現在にたどり着くまでの軌跡と新たなチャレンジ、これからのコーヒーのあり方など、じっくりと話をうかがいました。

 

ニートからコーヒーの頂点へ。「本気になれるもの」との出会い

――コーヒー界を代表するプロのひとりとしてご活躍の畠山さんですが、今の道に進まれるきっかけはなんだったのでしょうか?

僕はもともとニートだったんです(笑)。
会社員をしながらもなかなか本気で取り組みたいと思えるものに出会えず……。転職を重ね、いわゆるニート生活を送っていました。27、28歳くらいのときですね。

そのころ実家で暮らしていたんですが、コーヒー好きの両親に頼まれ、ときどき豆を買いに行くことがありました。あるとき、その店で開かれるハンドドリップのワークショップに参加してみたんです。いつも頼まれて豆を買う程度だけれど、せっかくだし、ちょっと自分も淹れる勉強をしてみようかな、と。ほんとうに気軽な気持ちでしたね。

実を言うと、ちょうどその前日、お付き合いしていた人にふられてしまったんです。仕事もせず、先が見えないからって(笑)。
だから、失意のどん底でワークショップに参加したわけですが、産地ごとにコーヒーを飲ませてもらいながら、そこで初めて、あれ?コーヒーってどれも同じじゃないんだな、って思いました。もう少しいろいろなコーヒーを飲んでみてもおもしろいかもしれない。どん底だった自分に、あたらしい興味がふわっと芽生えた瞬間でした。

そのコーヒー豆店が新店舗を出すというときに、「ふらふらしているなら、やってみたら?」と声をかけてもらい、アルバイトとして働き出したのが直接コーヒーと関わる最初の一歩です。

そのときはまだ、コーヒーの勉強をしながらお金をもらえるというような、半分趣味のような気分でしたね。でも、あるとき大きなターニングポイントに出会いました。

 

コーヒーのおいしさはひとつではないと気づいた転換点

当時、いろいろなお店のコーヒーを飲み歩いていたのですが、たまたま同じ原料豆を、2軒のお店が出していました。同じ豆なのに、一方は浅煎り、もう一方は深煎り。まったく違いますよね。でも、どちらもおいしかったんです。

今でこそ珍しくありませんが、スペシャルティ品質、つまりレアな豆なのに別々の店舗で同じものがある。さらにその焙煎の度合いが違うというのは衝撃でした。当時の僕は、焙煎は豆のポテンシャルを最大限に引き出すことだと思っていました。だから、ひとつの豆をおいしくするには、「一番おいしいポイント」があるはずだと。

でも、実際は違ったわけです。そして、まったく異なる焙煎度合いでも、それぞれにおいしい。科学的な数値で見る品質には、ひとつの点があるのかもしれません。でも嗜好は別物なのだと、初めてそこで気がつきました。

 

――おいしさを感じる基準は、人によって違うということでしょうか?

そうなんです。それぞれの人に対して、「それぞれのおいしい」が存在している。なにがあってもいい、正解はひとつじゃないという思いに行き着き、それならば、その人にとっての最高の味を提供したいと考えるようになりました。

そこからは、おいしいコーヒーを自分で飲みたいというだけではなく、いろいろな人に飲んでもらいたいという欲求も出てきて。自分の味を評価してもらいたいと、競技会に出場するようになったのもそのころからですね。

コーヒー豆店でのアルバイトでは焙煎機をいつまでたっても買えないと気づき、早朝や深夜などに派遣の仕事をしながら、日中はコーヒーの研究ばかりをしていました。水も飲まずにコーヒーだけというぐらい、どっぷりとのめり込んでいましたね。だから、とうとう焙煎機を買えたときは、うれしかったです。このときにはもう、自分は一生コーヒーと付き合っていくんだろうなと確信していました。

 

その人だけの「おいしい」にフィットしたコーヒーを目指して

 

――そこから、オンラインで豆を売る店を始められたのですね。

はい。僕は自分の店に、「Bespoke(ビスポーク)」と名づけましたが、これは(おもに靴の業界で)「オーダーメイド」という意味で、その人その人にあったおいしさを届けたいという思いを込めています。

同じころ、靴磨きにもはまっていたんです。
コーヒーと靴磨き、どちらの道に進むか迷ったくらい好きでした。ただ、コーヒーは思う存分淹れられても、靴磨きは自分の靴の数にも限りがありますし、一度磨いたらしばらく履かないと磨ける状態になりません。
だから路上に出て磨かせてもらったりもしましたが、みなさん「ありがとう」と言ってくれるんですよ。自分は「磨かせていただいている」という気持ちなのに、ありがとうとお礼を言われて、さらにお金までもらえる。

本来、つくる人と買う人は、互いに「ありがとう」が成り立つ関係なんだと、そのとき改めて思ったんです。
会社員時代は歯車の一部のようで、直接誰かに喜んでもらえるという経験ができませんでした。もちろん、そこにはまた違ったやりがいや喜びがあるのだと思いますが、僕は一対一で向き合える仕事をしたかったんだと初めて気がつきました。

 

――結果、コーヒーを生業に選んだのは、さらに決め手があったということでしょうか?

どちらも正解がなく、技術を研鑽しながら無心になれるという意味では似ています。ただ、もうコーヒーを飲まない人生は僕にはない、それなら仕事にして突き詰めてみたいと思ったんです。
単純に僕自身がずっとおいしいコーヒーを飲んでいたかったんですね。焙煎から抽出までにこだわって、もし自分にとっての日本一おいしいコーヒーがつくれたら、僕は毎日、日本一のコーヒーを飲める人になるじゃないですか。こんなにすばらしいことってありません(笑)。

 

――畠山さんにとってのおいしいコーヒーとは、どんなコーヒーでしょうか?

一言にするならば、「ずっと飲んでいたくなるコーヒー」です。
ずっと味わっていたいのに、どんどん飲んでしまって、あっという間になくなってしまうような。それが僕のなかで、最上級においしいコーヒーだと思っています。人によって味の好みはさまざまですが、これはみんな共通なんじゃないでしょうか。

 

自身をチャンピオンに導いた、最上級の一杯

 

――今までの人生での、「最上級の一杯」「思い出深い一杯」というのはありますか?

忘れもしません、2019年9月12日の夜の一杯です。ブリューワーズカップの本番前夜、最後の調整をしていたときにできあがったコーヒーが一番思い出深いですね。

翌日の大会に向けて、最後の大詰めをしているなかで、不思議な達成感というか、頭のなかが全部吹っ飛ぶようなスーッとする感覚があったんです。今までコーヒーで体験したことがないような感覚でしたね。自分がつくりあげてきたものがピタッと合った瞬間で、そうして仕上がったコーヒーは、いまだに忘れられない一杯となっています。

 

――その一杯の味わいと感覚は、翌日の本番でもありましたか?

どうでしょう。本番のコーヒーは、審査に出すので自分では飲めないんです。でも、きっと出せたから優勝できたのかなと思っています。

集中しすぎているのか、自分では大会のときの記憶がないんです。あとから動画を見て、あぁちゃんとやっていたんだと確認したほどです。
最初の30秒ぐらいはガチガチに緊張していましたが、そこから先で覚えているのは、時間の感覚がなくなって、なにかがパンと弾けたような、感覚どころかまわりの景色も音も、重力もなにもないような……不思議な感じでした。

いわゆる「ゾーンに入る」という状態かもしれません。アスリートの方が極限の集中状態に入ることをそう呼びますが、コーヒーのテイスティングのときも、同じような感覚があります。
僕は人とディスカッションをしながらというよりは、自分の世界の深いところまで入り込んで、黙々とやりたいタイプ。ゾーンから抜けたあとの爽快感はすごいんですよ。めちゃくちゃ心地いいし、たのしい瞬間です。

 

――常にコーヒーと向き合っている畠山さんですが、プライベートでもコーヒーを楽しんでらっしゃいますか?

もちろんです。同業者のなかには、コーヒーをあまり飲まない人もいると聞きますが、僕は必ず朝はコーヒーから始めます。それこそ、予定に遅刻してでも飲みたいぐらい(笑)。一日2〜3杯は自分のために淹れて飲んでいますね。気分に合わせて焙煎を選んだり、ペアリングの研究、なんていう大義名分のもとに甘いものと楽しむことも多いです。

甘いものがとにかく好きで、ケーキもチョコレートも和菓子も、なんでも。チョコレートとコーヒーって共通点もあって、おもしろいんですよ。カカオを焙煎して、チョコレートをつくってみたこともあるぐらい、こだわりだすとキリがないですね。

 

――昨年からのコロナ禍で、コーヒーをはじめ、なにかにこだわるおもしろさに気づく人も増えたかもしれませんね。コーヒーの役割や立ち位置もこれから変わっていくのでしょうか。

より嗜好性が高まっているのは感じます。
たとえば会社の近くで飲んでいたコーヒー屋に行けなくなったから地元の店に変えたとか、オンラインで買うようになったとか、今までとは違うかたちでコーヒーに触れる機会が増えた一年だったと思います。それは、コーヒーってこんな世界があったんだ、って新たに気づいた人が増えた一年でもある気がするんです。
自分が好きなものを、より深く広く知る体験につながっているでしょうし、今後は、好きなものを突き詰めていく人が増えていく気がしますね。

 

この世界に、なにか爪痕を残したい。新しい挑戦と歩むこれから

 

――畠山さんご自身は、なにか変化がありましたか?

やっぱり、自分の時間をすごく意識しましたし、人生には限りがあるということを考えました。
そうしたら、あれ、自分はまだこの世の中になんの爪痕も残せていない、なにかを始めなくちゃって。
これまでに得たコーヒーの知識を、僕がいなくなったあとも誰かが見てくれるくらいにならないと生きた価値がないと思いました。自分のなかにあるだけでは、世界になにもプラスになっていない。じゃあどうしようと考えて、思い切ってYouTubeでの発信を始めました。

――それまでは、動画に取り組むことは考えたことがなかったのですか?

まさか自分がやることになるとは思いもしませんでしたし、実際に始めるのも、かなり勇気がいりました。撮影道具もなにもない。でも、あれこれ考える前にまずはやってみようと、手持ちのスマホで撮り始めたのが最初ですね。

畠山さんのYouTubeアカウント「Hatakeyama Daiki」

 

――実際にはじめてみて、いかがでしたか?

賛否両論でしたね。
チャンピオンがユーチューバーになるなんて、と言われることもありましたし、チャンピオンはもっと威厳がなければと感じる人もいたと思います。でも、チャンピオンだから崇高なイメージを保たなければと決めてしまうのは、ちょっともったいないと僕は思っているんです。

コーヒーの世界にも大会があるんだということはまだまだ知られていませんし、チャンピオンになったから、じゃあコーヒーで一生食べていけるかといえばそんな簡単な話でもありません。だからこそ、もっと広く知ってもらって、コーヒーの裾野を広げていきたい。動画には、まだその可能性がたくさんあると思っています。

 

――コーヒーは愛好家が多い一方で、難しい世界だというイメージを抱く人も多いようですね。

僕もよく言われます、「コーヒーは好きですが、よくわからないんです」って。でも、プロでない人たちが詳しくないのは当たり前です。
どうやらみなさん、コーヒーに「ひとつの正解」があると思っている人が多いのかもしれません。いわゆる「コーヒー道」のようなものからはずれてはいけないと思って、どんどん崇高なものにしてしまっている。でも、ちっともそんなことはないんです。
もっとみんなが自由に楽しんで、好きなものを飲むのが一番だと思います。

 

一生コーヒーとつきあっていくために、今できること

 

――今後、畠山さんはどんなふうにコーヒーと関わっていくのでしょう? 今後の展望などはありますか?

最近、おもしろくなってきたのは、コンセプトを決めたブレンドづくりです。昨年はクリスマスシーズンの焼き菓子、シュトーレンに合うスペシャルティというコンセプトでつくったりもしましたが、その制作過程を動画やコラムで紹介するなど、表現の試行錯誤も含めて手応えを感じています

これをやったら儲かるとか、こうしたらもっと売れるとか、もちろん仕事ですから考えていくべきことではありますが、それよりも、まずはたくさんの人に、おいしいと思ってもらえる体験価値を伝えていくことを大切にしたいです。
コーヒーの世界を広げていくことが、結果的に僕の仕事としてのコーヒーの世界を広げることにもつながる気がします。

僕は一生コーヒーとつきあっていくと決めたので、長い目で見ながらコーヒー業界を盛り立てていきたいです。

今の自分は、豆を焼いて、コーヒーを淹れて「ありがとう」と言ってもらえます。ほんとうにいい仕事をさせてもらっているなと思いますね。

 

畠山大輝 HATAKEYAMA Daiki
Bespoke Coffee Roasters代表。SCAJ史上初ジャパンハンドドリップチャンピオンシップとジャパンブリュワーズカップの二冠に輝く、国内屈指の焙煎士・バリスタ。自身のYouTubeチャンネルでの発信や、月替りのサブスクリプション(定期購入)サービス「イノベーティブ・ブレンド」の立ち上げなど、コーヒーを独自の視点で追求する。
http://bespokecoffeeroasters.com/

 

取材・構成・文/藤沢あかり

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