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Interview
2021年04月02日
ROKUMEI COFFEE CO.
2,500円(税込)
パンサーズの皆さんのチームワークの良さから、味を重ねてもバランスの良い味わいを目指しました。 違う産地のコーヒーがそれぞれの役割で味わいが重なり、奥行きを与えてくれます。 コーヒーらしい苦味とスペシャルティコーヒーらしい酸味がバランスよく感じます。 まろやかな口当たり、心地よい甘い後味が残ります。 これからコーヒーを楽しみたい方にもおすすめです。
ROKUMEI COFFEE CO.
1,500円(税込)
パンサーズの皆さんのチームワークの良さから、味を重ねてもバランスの良い味わいを目指しました。 違う産地のコーヒーがそれぞれの役割で味わいが重なり、奥行きを与えてくれます。 コーヒーらしい苦味とスペシャルティコーヒーらしい酸味がバランスよく感じます。 まろやかな口当たり、心地よい甘い後味が残ります。 これからコーヒーを楽しみたい方にもおすすめです。
いつも暮らしと共にある、コーヒー。毎日のコーヒーはちょっとしたコツでいつもよりアップデートします。「パナソニック パンサーズ」清水邦広選手・今村貴彦選手・久原翼選手が飲み比べやドリップを体験しました。教えてくれたのは、「ROKUMEI COFFEE CO.」代表の井田浩司さん。今すぐできるコツばかりで、選手たちは興味津々!
井田さんは、2018年Japan Coffee Roasting Championshipで優勝したエキスパート。バレーボールと焙煎、トップを目指す上で、互いの共通項も見えてきました。
コーヒーが好き、だからこそもう少しこだわりたい。そんな「パンサーズ」の選手たちと、おうちコーヒーの参考にしながら、ぜひ楽しみ方の追体験を!
コーヒーは気分を変える、日常の中のスイッチ
井田さん
ようこそみなさん、「ロクメイコーヒー」へいらっしゃいました。よろしくお願いします。
清水選手
焙煎チャンピオンの井田さんにお話がうかがえること、僕たちもすごく楽しみにしていました。コーヒーが好きで毎日飲みますが、味にこだわることがあまりなくて。今日は、コーヒーの深みを感じていきたいと思います。
井田さん
嬉しいです、ぜひ。まずは当店の定番<ロクメイブレンド>をどうぞ。毎日飲み飽きないコーヒーを目指して、甘み、酸味、苦味をバランス良く仕上げています。
清水選手
ありがとうございます! ああ、本当ですね。美味しいです。
井田さん
みなさん、アスリートとして活躍されていますが、普段はどんなときにコーヒーを楽しまれていますか?
清水選手
僕は朝起きたら飲むのが習慣です。昼食後にも飲みますし、夜はカフェオレにして。一日中、コーヒーは欠かせないですね。そういえば、練習前にも飲みますね。僕だけじゃなく、「パンサーズ」のみんなも。
久原選手
コーヒーを飲むと脂肪燃焼効果があると聞いたことがあります。
清水選手
そうそう、集中力も高まりますから。
今村選手
僕は朝、体育館に行く途中ですね。コーヒーを飲みながら車を運転して、バレーの練習に向かいます。
清水選手
やっぱり朝飲むと、“よし、始めるぞ!”っていう気持ちになるね。
久原選手
僕は2021年から、コーヒーに興味を持ち始めまして……。
清水選手
え、そうなん!? オフィシャルサイトのプロフィールには好きな飲み物「水」って書いてあったけど!
久原選手
そうです。「水」を一番よく飲むからだったんですけど、さっきマネージャーにプロフィールの書き換えを頼みました。今はコーヒー1位です。
清水選手
今日から!?
久原選手
2021年1月1日から、ほぼ毎朝、淹れているんです。
清水選手
そうだったの!? 体育館で飲んでいるところ、見たことなかったから!
久原選手
練習前は、僕は飲みたいとあまり思わなくて。
清水選手
脂肪燃焼するとか言っていたのに(一同・笑)。
井田さん
それぞれで飲むシーンが違うんですね。
清水選手
ほんと、そうですね。
井田さん
コーヒーにはいろいろな種類があって、産地や焙煎でも味わいが変わります。今日は手軽にお家で楽しんでいただけるように、飲み比べてもらって、みなさんの好きなコーヒーを見つけていきたいと思います。
清水選手
飲み比べってしたことないから、楽しみです。
今村選手
僕たちも初めてです。よろしくお願いします。
飲み比べて広がる、コーヒーの奥深い世界
井田さん
今回は3種類、A・ B・Cを用意しました。産地も焙煎度合いも違うコーヒーなのですが、それぞれの味と香りを順番に楽しんでもらいたいと思います。まずはどんなコーヒーかわからない状態で、飲んでみてください。では、Aからどうぞ。
清水選手
僕たち、舌に自信がないから、的外れなこと言いそうだよな(笑)。
今村選手
言いそうですよね(笑)。
清水選手
(Aのコーヒーを飲んで)これは、さっき飲んだコーヒーと違いますね。
久原選手
紅茶みたいな……。コーヒーと紅茶の間のような感じがします。
井田さん
いいですね。次はBをどうぞ。
今村選手
(Bのコーヒーを飲んで)あ! これ、とろみがありますね。
井田さん
そうなんです。コーヒーって種類によって口当たりが違うんです。さらっとしていたり、とろっとしていたり。油分によって、変わってくるんです。
清水選手
AとBでは味わいも全然違う。飲み比べると違いがはっきりわかりますね。
井田さん
最後、Cを飲んでみましょうか。
清水選手
これが一番好きかも。
久原選手
コーヒーっていう感じの、コーヒーですね。
井田さん
3種類それぞれ感じ方が違いますよね。こうやって飲み比べるといろんな味があることがわかってもらえると思います。
清水選手
“コーヒーとはこういう味”としか、今まで思っていなかったので驚きです。こんなにいろんな味わいがあるなんて。
井田さん
これはまだごく一部で。世界には数え切れないくらい、何百種類とあります。豆の種類でも変わりますし、焙煎の度合いでも変わりますから。焙煎を深くするほど、苦味は強くなります。豆の色を茶色から黒くしていく段階で、苦味が増していくんです。
最初に「紅茶っぽい」と言っていただいたAは、エチオピアのコーヒーです。<エチオピア イルガチェフェ アリーチャ ナチュラル>。これは、ナチュラル製法と言って、果肉をつけたまま乾燥させています。ベリー系の酸味があってフルーティー、ティーライク。つまり紅茶のような味わいがあるコーヒーです。
清水選手
確かに、言われると本当にそうです。ティーライクで、フルーティー!
井田さん
2番目のBはブラジルのコーヒー<ブラジル アルタ ヴィスタ>。これは、アーモンドのような風味が感じられます。口当たりに丸みがあって飲みやすい、バランスの取れた味わい。焙煎は、中煎りくらいです。
3番目のCは、「コーヒーらしい」とおっしゃいましたが、深煎りのインドネシアのコーヒー<インドネシア マンデリン ブルーリントン>。AとBに比べると焙煎が深く、濃厚なコクがある、コーヒーらしい味わいです。
清水選手
僕らが感じ取ったような、それぞれの味わいがあるんですね。
井田さん
こういったコーヒーをシーンによって飲み分けてもらってもいいと思います。朝目覚めたときはこれ、リラックスしたいときはこっちとか。
清水選手はカフェオレがお好きということでしたから、例えば、Aをカフェオレにするとミルクティーみたいな印象になります。Cならコーヒーらしさのある、カフェオレになります。カフェオレでもいろんな楽しみ方ができるんですよ。
清水選手
いやあ、深いですね。
今村選手
もっといろんな種類を飲みたくなりました。
清水選手
久原選手はどれが好き?
久原選手
僕はわりと酸味がある方が好きなので、AとBが好きです。
今村選手
僕はガツンと来るのが好きなので、深煎りを強めたDを作ってもらいたいです。
清水選手
確かに、僕もガツンタイプだな。
久原選手
AとCそれぞれの、その先が飲んでみたいですね。
井田さん
普段はしっかりしたのを飲まれますか?
清水選手
そうですね。でもどれも美味しくて、進みます。
今村選手
チョコレートとかあったら嬉しいですね。
井田さん
チョコレートのペアリングもいいですね。チョコの種類によって合わせるコーヒーを変えていくと、またそこでの感じ方も変わってくるので。いろんな掛け合わせも楽しみです。
今村選手
楽しみ方は無限ですね。
お家で手軽にできるように、ハンドドリップを体験
井田さん
普段、ご自宅でハンドドリップしますか?
清水選手
いつもはコーヒーメーカーです。
今村選手
僕は二刀流です。朝の1分、2分は大事なので、忙しい時はコーヒーメーカー、早起きした時はハンドドリップです。
久原選手
僕は2021年に一式買いそろえまして、ハンドドリップしています。
清水選手
まだ誰も見たことないけどね(一同・笑)。
久原選手
ちょっとまだ言えるところまででもないかなって思っていたんです。でもほぼ毎朝、朝ごはんを食べてから淹れています。そのために30分早起きになりました。
清水選手
リズムが変わったんだ! 僕は大雑把なせいか、美味しくはいらないときもあって、コーヒメーカーなんだけど。
井田さん
僕も家ではコーヒーメーカーでしか飲まないです。店にいるときはドリップが多いですが、それこそ出かける前は時間がなかったりするので。休日はゆっくりドリップしようとか、シーンによって使い分けるのが理想形だと思います。両方で楽しんでほしいですね。
では、ご自宅でも簡単に淹れられるペーパードリップをやってみましょう。当店のやり方で、やってみますね。いつでも美味しく淹れる秘訣は、コーヒー豆の量、お湯の量を量ることです。適当に淹れると、薄かったり、濃かったり、味がぶれてしまいます。
清水選手
薄かったり、濃かったり……! 身に覚えがあります。めちゃくちゃ適当に目分量で淹れるから。
井田さん
量ってもらうと安定して自分の好みの濃さに仕上がると思います。
では、さっき挽いてきたC=インドネシアの深煎りで淹れてみますね。お湯は90〜93度で。お湯が沸いたら別のケトルにいったん移すと、それくらいの温度になります。コーヒーの温度が下がらないように、カップとサーバーも湯通しして温めておいてくださいね。
使っているドリッパーは、底が平たく3つ穴があるので、安定して抽出できるので、誰でも淹れやすいと思います。店では、新潟県燕市の職人さんに作ってもらった、オリジナルを使っています。今回は、コーヒー豆17gに対し、湯量250gで淹れていきます。出来上がりは230g =マグカップ一杯分です。
まずお湯30gくらいを目安に、粉全体にお湯がかかるように濡らします。30秒ほど蒸らして、豆の繊維を開き、抽出しやすい状態を作っています。このとき深煎りの豆はよく膨らみますね。膨らみ具合は、鮮度や焙煎度合い、挽きたてかどうかも影響します。30秒待ったら、100gを目安にお湯を注ぎます。
清水選手
(井田さんがハンドドリップする様子を見ながら)すごいな。
久原選手
繊細ですね。
井田さん
コーヒーが落ち切る前に、お湯を50gずつ真ん中に注ぐ。あとはこれを繰り返していきます。このドリッパーは湯だまりができるので、一点に注いでもらえば大丈夫です。コーヒーが落ち切ったら、ドリッパーを外し、軽く混ぜ合わせて、カップに注げば完成です。
では、清水選手にやってもらいましょう。
清水選手
いいですか!?
今村選手
できるかな!?(一同・笑)
清水選手
いやほんと、できるかな(笑)。でも、できたら家でマシンを使わずに、こんな美味しいコーヒーが淹れられるってことだから。
井田さん
コツさえわかれば簡単ですから、ぜひ。豆の量やお湯の量を調整して、自分好みの濃さで淹れるのも楽しいですよ。前回より濃く淹れようとか、好みの味にしていくためにも、計るって重要なんです。
清水選手
よし、では井田師匠に弟子入りします! 久原選手と今村選手のために美味しいコーヒーを淹れて、愛を届けるから!
今村選手・久原選手
愛情込めて、お願いします!
清水選手
まずドリッパーやサーバー、カップを温めるんですね。
井田さん
セットできたら17g のコーヒーに対して250CCのお湯を注ぎます。粉全体が濡れるように、ゆっくりお湯をかけてください。30秒蒸らしたら、全体にお湯がかかるように100g注いでください。粉が膨らんでいるので、ペーパーフィルターにはお湯がかからないようにコントロールして。
清水選手
はい!(お湯を注ぐ)
井田さん
膨らみがへこんできたら、そこへ一点集中で。50gずつお湯を注ぐというのを繰り返します。
清水選手
一点集中! 愛も注いでいます!
井田さん
同じペースで続けてください。(手元を見守りながら)清水選手、完璧ですね。コーヒーが落ち切ったら、濃度に差がないように混ぜて、カップに4等分に注ぎ分けてください。
清水選手
では、コーヒー好きになった久原選手には多めに。
久原選手
ありがとうございます!
清水選手
じゃあ、テイスティングを!
今村選手
いただきます!(一口飲んで)うわあ、美味しい。愛情があふれています!
清水選手
確かに僕もそう思う、美味しい。師匠直伝ですから!
今村選手
僕も淹れたいです。
清水選手
じゃあ俺に弟子入りして(笑)。
井田さん
「パンサーズ」で伝承してください。
久原選手
じゃあ僕もいただきます! (コーヒーを飲んで)いつも自分で淹れているので、淹れてもらうコーヒーって格別です。本当に美味しいですね、飲みやすいです!
清水選手
先輩やからこその、美味しさやろ!?
久原選手
さすが先輩です!
井田さん
じゃあこれから先輩に淹れてもらわないといけないですね。
久原選手
体育館に一式持ってきてください。
清水選手
「コーヒー飲みたい」って言った瞬間、僕が淹れますから。後輩のためなら、いくらでも淹れます。
井田さん
いい先輩ですね(笑)。
今村選手・久原選手
よろしくお願いします!
井田さん
(改めてコーヒーを飲んで)本当に上手に入っていると思います。
清水選手
本当ですか! コーヒー豆17gにお湯250CC、覚えました。
井田さん
その比率だと、今飲んでいただいた濃さになります。マグカップ用で淹れているので、普通のカップの場合、15gに対し湯量200CCで淹れるといいと思います。飲みやすいし、香りもしっかりあって、本当においしく入っていると思います。
清水選手
コーヒーっていろんな種類があるのに、違いがよくわからなかったから、何にも考えず買っていましたけど、これから自分の好みにあったものを見つけて飲んでいきたいです。海外遠征もあるので、そこでも探してみたいですね。新たな楽しみができました。
集中力を高めて、世界へ挑む
井田さん
それにしてもみなさん、本当に仲が良いですね。
清水選手
ほかのチームがどうかわからないですが、「パンサーズ」は仲が良いですね。誰かがボケて、誰かが突っ込んで、今日みたいに終始ふざけています。チームワークは大事ですけど意識して何かやっているわけじゃなく。普段通りの信頼関係がそのままプレーに出るのだと思います。
井田さん
集中力を高めるために、何か意識されていることはありますか? 僕は焙煎技術を競う世界大会(World Coffee Roasting Championship)に出場したとき、コーチについてもらったのですが、実際の本番は一人なので。一人で集中力を高めるのと、チームで高めるのは違うところがあるのかなと。
清水選手
それこそコーヒーは集中を高めるのにいいですね。それから、音楽。みんなでストレッチをするときには基本、音楽が流れているので、その中で集中しています。
試合に向かっていくときは、一人ひとりにルーティーンがあるので、それぞれで集中力を高めていきますね。チームでというと、エンジンをかける掛け声かな。“よっしゃ、行くぞ!”って、みんなで心を一つにして向かいます。井田さんは、どんなふうに?
井田さん
僕の場合は、イメージトレーニングをします。大会前日は特に、イメトレをしっかりと。頭の中でうまくできていると、良い結果になることが多いので。
今村選手
僕もそうですね。試合前は、自分が決めたスパイクシーンを見て、イメージトレーニングをします。いいイメージを持ったまま試合に臨めるから。
久原選手
僕は練習と試合をあまり意識しないようにしています。いつも通りの生活をすることを心がけていて。ルーティーンも意識していないです。
清水選手
試合前には左足から靴下履くとか、ない?
久原選手
無意識で履いています(笑)。
清水選手
左足からコートに入るとか、決めている選手もいるよね。ゲン担ぎとして。
井田さん
僕もゲン担ぎはないですね、あまり気にしないようにしています。
データ分析と共に、自分自身の感性もしっかりと磨く
清水選手
チームには、アナリストという分析班があるので、自分たちのデータも、相手チームのデータも見て、分析し、試合に備えます。データに基づいて相手のクセを見抜き、自分はこうだから相手はそこを攻めてくるんじゃないかとか、予測を立てて戦略を考え、試合に臨むので、その予習復習がすごく大切ですね。
井田さん
焙煎の世界もデータが大事です。データに基づいて、作り上げていくんですけど、僕は世界大会でそこで失敗した経験があって。数字を重視して作り上げていたので、実際との、ちょっとした誤差に気づけず、自分が思っているのと違う仕上がりになったんです。あの経験で数字も大事だけど、もっと感覚的な部分も大事にしないといけないと思いました。
清水選手
確かに。僕たちもデータから予測して分析しますが、相手も人間なので違うことをやってきたり、意表を突かれることが多々ありますから、その対応力が大事になります。
井田さん
そういうとき、チームワークが重要になるんですね。
清水選手
そうですね。僕たちはチームスポーツなので、誰かがミスしたり、調子が悪くても助けることができる。どんな窮地でもチームで助け合いながら向かっていけますが、井田さんは一人ですもんね。例えば調子が悪くなった時、どうやって立ち直るのですか?
井田さん
世界大会ではコーチがついてくれているんです。だから、コーチの意見は助けになりますね。悩んでいる時、こっちが正しいと思いながらも決定打に欠ける時は、ほかの人の意見を聞くことも大事だなと思います。最後は、自分ですけどね。
清水選手
井田さんにもコーチがいるんですか、俺の師匠にも師匠が!
井田さん
上には上がいますね。
清水選手
そうですか、どの世界でもそうですね。
井田さん
歴代のチャンピオンの話を聞いて、取り入れたりもしましたね。焙煎士同士って、仲が良いんですよ。
一人ひとり役割を全うすることが、チームの力になる
井田さん
ブレンドを作るときは、さまざまな個性ある豆を合わせていいものを目指していくのですが、そのときバランスがすごく大事です。それぞれ選手にも個性があると思いますが、チームでは一人ひとりをどうバランス良く生かしているのですか? 調整はどんなふうに?
清水選手
それは司令塔である監督の役割ではありますが、僕たち一人ひとりにも役割分担があって、ポジションもそれぞれですから、自分の役割をお粗末にしてしまうとチームがうまく回らなりますね。
井田さん
一人ひとりが役割を全うすることが大事なんですね。
清水選手
僕のポジションはオポジット、点数を取る役割です。久原選手はアウトサイドヒッター。スパイクを決めて点数を取らなくてはいけないし、ディフェンスもしなくてはならない。最もセンスが要る、役割として負担がかかるポジションなんですけど、うまくこなしている……かな!? どうかな、今村選手?
今村選手
久原選手はよくこなしていると思います。僕はオポジットとアウトサイトヒッターを兼ねた、マルチプレーヤーでやっています。ディフェンスもしますし、清水さんのように点取りもしますし、監督の支持で、日によって役割が変わります。だからデータもほかのメンバーの倍入れないといけない。頭がパンクしそうなときもあります。だから、先ほどの井田さんのお話ではないですが、データも大事ですが、感性で、足が先に動く感じもあります。
人生を変えるコーヒー、出会いをつなぐバレーボール
清水選手
こうして話してみると、バレーボールと焙煎の世界にも通じるものがありますね。井田さんにとって、コーヒーってどんなものですか。
井田さん
僕自身はコーヒーに、二つの思いがあります。一つは、飲み物として、すっと入ってくるコーヒーを作りたいという思い。さきほど「飲みやすい」と言っていただきましたが、邪魔するものがなく、すっと入っていく状態を究めたい。それが、飲み物としてのベストだと思うから。
もう一つ、僕にとってコーヒーは、人生を変えるものですね。僕たちがメインで扱っているスペシャルティコーヒーと出会えたおかげで、人生が変わりました。初めて自分がどっぷりハマり、人生の転機にもなりましたから。世界を広げてくれたものですね。
清水選手
奥深いな。素晴らしいです。
井田さん
みなさんにとって、バレーボールとはどういうものですか?
清水選手
井田さんの後に、恐れ多くて言えないですね(一同・笑)。
今村選手
じゃあ、僕が言います!
清水選手
お、じゃあ代表して!
今村選手
バレーボールってラリーが続くんです。レシーブ、トス、アタックとボールをつないでいかないと、最終的に点が取れない。それは人との出会いも重なっているなと思うんです。バレーをやっていたからこそ、今ここでコーヒーが飲めているし、井田さんとも出会えている。バレーをやっていたから、すべての出会いに結びついているんだなと思います。
清水選手
確かにそうやな。でも僕らはまだまだ深みが足りないかな(笑)。
毎日飲みたくなる「パンサーズ」のオリジナルブレンドを!
井田さん
カフェラテがはいりましたので、最後にどうぞ。ニカラグアの豆を使ったエスプレッソとスチームしたミルクで作っています。
清水選手
(カップを手にして)ラテアートがおしゃれですね、ありがとうございます。
井田さん
エスプレッソは圧力をかけて抽出しているので、ドリップとはまた違う、味わい深さがあります。砂糖は入っていませんが、牛乳の甘みを感じてもらえると思います。
清水選手
(カフェラテを飲んで)おお、めちゃくちゃ美味しいです!
今村選手
これはさすがに家ではできないですか?
井田さん
家庭用のエスプレッソマシンもあります。ただ業務用ほどパワーがないのでミルクはここまできめ細かくならないかもしれませんが。
お家で楽しむ場合は、できるだけ濃い目に淹れてもらったらいいと思います。粉の量はそのままでお湯を半分にして、しっかりと濃いコーヒーを作ってから、温めたミルクと合わせてください。
清水選手
コーヒー豆もカップもそこまでこだわっていなかったので、ここで買って帰ります! 今村選手はいつもどんなカップで飲んでいるの?
今村選手
僕はステンレスのマグカップで飲んでいます。いただいたものですが、口当たりが良くて、毎日のレギュラーです。
久原選手
僕は道具にしか力を注げていなくて、カップまでまだ届いていません。これからの楽しみです。コーヒー初心者なので、今日はいい機会をいただけて、興味が膨らみました。蒸らしの時の、コーヒードームみたいに……!
清水選手
上手いこと言うね(笑)。
井田さん
まだまだ膨らんでいくと思うのでぜひ楽しんでください。清水選手と今村選手は深煎りがお好みだったので、うちのコーヒーでいうと、インドネシアのマンデリンか、サルサワブレンドもおすすめです。夜にゆっくり飲んでもらいたいですね。
清水選手
夜よく飲むのでそれはいいですね。
井田さん
ミャンマーのコーヒーに最近力を入れていて、それもかなり深煎りです。酸味がありながら、苦味もありますね。うちのコーヒーは、深煎りよりも、フルーティーな浅煎りの方が種類は多いです。深く焙煎すると似通ってくるので。久原さんは酸味のあるものがお好きでしたね。さっきはベリー系でしたが、柑橘系の酸味を感じるものもありますし、これからいろいろ試してみてください。
清水選手
「パンサーズ」でコーヒーショップを作りたいね。
今村選手・久原選手
カフェやりたいですね!
井田さん
ぜひやってください。みなさんの好きなコーヒーがわかってきたので、好みを踏まえて、これから「パンサーズ」のオリジナルブレンドを作っていきたいなと思います。
清水選手
え! それは嬉しいな。僕たちのオリジナルなんて、最高ですね!
井田さん
しっかりした苦味の中に、フルーティーさも感じる、バランスの取れたものにできたら。毎日飽きずに飲めるような。
清水選手
ああ、すごくいいですね! 早く飲んでみたいです!
井田さん
完成を楽しみにしていてください。
清水選手・今村選手・久原選手
ありがとうございます!
取材・文/宮下亜紀 撮影/コーダマサヒロ
※文中の「3種類、A・ B・Cのコーヒー」のテーブルショットと清水選手がドリップする写真を除く。