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コーヒーの達人

2021年08月25日

インタビュー

鈴木清和 自分がおいしいと信じる味を。日本から世界へ差し出す一杯

東京・神保町。代々続く古書店や純喫茶、さらにはカレーの名店といった老舗が軒を連ねるこの街に、日本の新しいコーヒーカルチャーを背負って立つ一軒があります。それが、「GLITCH COFFEE & ROASTERS(グリッチ コーヒー&ロースターズ)」。その創業者であり、ヘッドロースターとして活躍する鈴木清和さんに、店で提供する一杯への思い、そして暮らしに根ざすコーヒーのあり方についてうかがいました。

GLITCH COFFEE & ROASTERS 鈴木清和さん

流行に左右されない場所だからこそ残る味がある

——「日本のコーヒーを世界に発信したい」という思いで店を立ち上げられたとうかがいました。渋谷や新宿といった都心ではなく、神保町を選んだのはどうしてでしょうか?

このあたりは、昔からずっと変わらない街なんです。神保町といえば、古本屋というイメージだと思いますが、スポーツ用品やアウトドアグッズの専門店が集まる街としても知られています。老舗のカレー屋や、古くから続いている喫茶店も多いですよね。

このエリアは皇居や靖国神社からも近く、空襲の影響もなかったと聞きました。日本らしさを伝えながら、長く続いてきた喫茶店のように、ずっと変わらずあり続ける店にしたい。そう思ったとき、流行り廃りとは無縁のこの街がぴったりだと感じました。

浅煎りのシングルオリジンにこだわったスペシャルティな一杯

提供されるコーヒーは、浅煎りのシングルオリジンにこだわったスペシャルティな一杯。オリジナルの波佐見焼のカップには、コーヒーチェリーを家紋風にアレンジしたロゴマークが。

神保町の駅からすぐ、古いビル

神保町の駅からすぐ、古いビルの1階にある店は、入れ替わり立ち替わり人が訪れ、この街に欠かせない景色となっている。

歳を重ねるほど魅力が増す仕事をしたい

——会社員を経て、コーヒーの世界に入られたそうですね。もともと、コーヒーがお好きだったのですか?

いえ、実は僕自身はコーヒーがそんなに得意ではなく、特別おいしいと感じたことはなかったんです。

栃木で生まれ、情報処理の専門学校を出たあとは、機械メンテナンスの仕事をしていました。でも、その仕事をこの先ずっと続けていくイメージが全く湧かなかったんですよね。美容師や芸能界など、自分の力で夢を実現していく周りの友人らを見ながら、僕もなにかおもしろいと思えることをやろうと決心しました。歳を重ねても続けていけるもの、年齢がマイナスではなく魅力になるようなものを仕事にしたいと思い、いろいろやってみましたね。ステンドグラスのようなガラス工芸やシルバークラフト、レザークラフト……。陶芸は庭に窯を構えた時期もあるくらい、一時はのめりこみました。ほら、陶芸って歳を重ねるほど技を極めていけるじゃないですか。

GLITCH COFFEE & ROASTERS 鈴木清和さん

コーヒーの満足度と幸福度の高さに惹かれて

——そのなかで出会ったひとつが、コーヒーだった?

そうなんです。自宅のコンロで焙煎して、友達に飲んでもらって。やってみると、ローストの加減や抽出器具の違い、さらには豆の産地によって味が違うこともわかってきて、知れば知るほどおもしろいと感じていきました。

それに、レザークラフトや陶芸は、つくったものを人にあげても、心から喜んでもらうのは難しかったんです。みんなそれぞれ、やっぱり好みも違いますから。

でもコーヒーは、「ありがとう」「おいしい」「また作ってほしい」と言ってもらえて、ダイレクトに「ありがとう」の気持ちが伝わってきました。

そこで初めて、コーヒーって満足度や幸福度の高い仕事かもしれないと思ったんです。ちょうど、バリスタという職業も知られ始めたころです。法律や宗教の違いなどでお酒を飲めない国はあっても、コーヒーを飲めない国は聞いたことがありません。世界中どこにいても通用する技術だと思い、コーヒーの世界に入りました。

カウンターの目の前で一杯ずつドリップされるコーヒー

コーヒーはカウンターの目の前で一杯ずつドリップされる

世界的バリスタとの出会いと、新しいコーヒーの視点

——そこから、コーヒー専門店やコーヒー豆の輸入販売を手がける会社などを経て、世界バリスタチャンピオンのポール・バセット氏のもとでコーヒーを学ばれたんですね。

彼のもとで13年ほど学びました。ポールに出会って初めて、コーヒーを数値で淹れるということを知ったんです。彼は、焙煎から抽出まで、すべての過程を数値化し、感覚ではなく理論を追求して極めていく人でした。グラム単位、秒単位で、水やコーヒーの量、マシンを動かすタイミングを調節し、抽出していくスタイルは革命的だったと思います。

コーヒーというと、熟練の勘や感覚技のようなイメージがありますよね。その真逆だったことに驚きとおもしろさを感じ、この人についていこうと決めました。

GLITCH COFFEE & ROASTERS 鈴木清和さん

自分たちが「おいしい」と思うものしか広めたくない

——グリッチで提供されるコーヒーは、浅煎りのシングルオリジンです。ここまで、どうやってその味の魅力を伝えてこられたのでしょうか?

最高級の松坂牛をおいしく食べようと思ったら、焼きすぎないように注意しませんか? それと同じで、コーヒーも深煎りにすると豆の個性がわかりづらくなってしまうことをお伝えしています。コーヒー豆の良さを最大限に引き出し、世界基準でおいしいと言われるものを目指すと、結果的に浅煎りにたどり着くんです。僕たちは、一番おいしいと感じるポイントにしか焙煎したくないですし、バリスタも、自分たちが一番だと思うポイントで抽出しています。

使用している焙煎機はPROBAT社(ドイツ)製

使用している焙煎機はドイツのPROBAT社製。

——先ほど、このあたりは喫茶店文化が色濃い場所だとお話されていましたが、いわゆる「ブレンド・深煎り」が好まれる場所でもありませんか?

そうですね。ビジネスという意味では、日本で人気の高い深煎りも並べた方がいいでしょうし、喫茶店文化のあるこの街にも似合うのかもしれません。でも、自分たちがおいしいと思っていないものを差し出すのは、お客さまに対してものすごく失礼な話ですし、お互いにいつまでたっても分かり合えません。

僕はこれが最高においしい!と自信をもって出すことで、お客さまもそれを理解しようとしれくれますし、コーヒーの味を新しく知ることや、業界の広がりにもつながっていくんだと思います。

GLITCH COFFEE & ROASTERSの店内
——こだわりを貫いていくことが、コーヒー業界を変えていくことにもつながるんですね。新しい取り組みとして、プロデュース業もあるとうかがいました。

はい、東京・代々木上原にオープンした「nadoya no kaTte(ナドヤ ノ カッテ)」は、グリッチがプロデュースしています。ほかにも、「CROWD ROASTER」というアプリを通じて、希少なコーヒー生豆と、さまざまな焙煎士を組み合わせて注文できるサービスも始まりました。僕もその焙煎士のひとりとして参加しています。

いろいろな形を通じて、よいコーヒーとの出会いが広がっていってもらえたらいいですね。

CROWD ROASTER(外部リンク)

コーヒー
——鈴木さんが考える、「おいしいコーヒー」とはどんなものでしょうか?

農園での栽培状態から焙煎や抽出、さらにはその間にある細かなプロセス一つひとつも含めて、すべてがうまくいったものだと僕は考えています。だからこそ、お客さまの手に渡る最後の「接客」で、その良さを伝えられなかったらもったいないと思うんです。そのためにはやっぱりスキルが必要ですし、選ぶことをお客さま任せにせず、きちんと伝えていくことを大事にしていきたいですね。

——コーヒーはご自宅でも楽しまれますか? どんなふうに飲んでらっしゃるのかぜひ聞かせてください。

もちろん、毎日飲みます!コーヒー豆やフィルターさえあればすぐにでも楽しめるのがコーヒーのいいところです。「ちょっとコーヒーでも淹れようか?」「あ、淹れてくれるの? ありがとう」って、そいういうやりとりもいいし、料理をつくるような仰々しさもない。淹れているときや、それを待っている時間、飲んでいる瞬間まで、ありがとうとか、おいしいね、っていうのが満ちていると思うんです。

先日、家でコーヒーでも飲もうかとなったとき、「あ、ケトルのそそぎ口壊れてたんだった」って、パートナーが調理用のおたまで淹れてくれたんですよ。びっくりしますよね。でもそんな気軽な感じでも、やっぱりおいしい。家で飲むコーヒーは、そんな感じでもいいと思います。

GLITCH COFFEE & ROASTERSの店内
——プロフェッショナルな一杯をお店で楽しむ一方で、家で楽しむコーヒーにはまた違った側面があるんですね。鈴木さんのような方が、そう言ってくださると安心します。

まずは、やってみると楽しみ方がわかってくるのではないでしょうか。そのうち、いろいろな情報も入ってきて、そこから調べて、またやってみたりとしているうちに、自分の好きなコーヒーもわかってくると思います。

コーヒーって不思議なもので、同じものでもカップが変わるだけで味の感じ方も変わるんですよ。たとえばアイスコーヒーをグラスで飲むのとマグカップで飲むのとでは、不思議とマグカップのほうが濃く感じたりもします。

GLITCH COFFEE & ROASTERSのロゴ

昔ながらの喫茶店では、特別な豆を、ウェッジウッドのカップで提供してくれるところがあったりしますよね。アイスコーヒーをマグカップで飲んでみるのもいいですし、自分でカップを変えて、味わいの違いを試したりするのもおもしろいし、そういうことができるのも自宅ならではだと思います。

いろいろ試していくなかで、世界基準でおいしいと言われているコーヒーってどんな味なんだろう?と興味が湧いてきたら、店を訪ねてもらえたらうれしいですね。

店舗名GLITCH COFFEE&ROASTERS
グリッチコーヒー&ロースターズ
住 所千代田区神田錦町3-16 香村ビル 1F
TEL03-5244-5458
Webサイトhttp://www.glitchcoffee.com/
営業時間【平日】 7:30~20:00 【土日】9:00~19:00
アクセス都営新宿線・東京メトロ日比谷線 神保町駅より550m 神保町駅より徒歩約7分 (最寄A9出口)

写真/鈴木静香 取材・構成・文/藤沢あかり

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