ネガティブSEO

Google や Yahoo! などの検索エンジンへ最適化し自社コンテンツを上位表示するための対策は「SEO」と呼ばれますが、似たような言葉として「ネガティブSEO」や「逆SEO」といった言葉もあります。

ネガティブSEOはWebページやサイトの検索結果順位を下げる目的の手法ですが、逆SEOとの違いや受けたときの対策方法が分からない、という方もいるかもしれません。

本記事ではネガティブSEOとは何かといった情報に加えて、関連する逆SEOについても基本知識から解説していますので、ぜひ各見出しを目次にして、必要な情報からご覧になってください。

ネガティブSEOを理解するための前提として知っておきたい「逆SEO」

ネガティブSEOとは何かを知るためには、まず逆SEOという概念について知っておいたほうが理解しやすいでしょう。かつてはネガティブSEOと逆SEOがほぼ同じ意味で利用されていたような経緯もあり、現在でも混同して双方の言葉が使われてるケースもあります。しかし現代における一般理解では、それぞれ異なる意味を持つということを覚えておきましょう。

まずSEOとは、自身のWebサイトやページ、ブログ、SNSを検索結果の上位に表示させるための施策です。マーケティングや集客のためのオンライン施策として活用されます。検索エンジンから「質の高いWebサイトやページである」と評価されるために、キーワード挿入などの外部・内部施策や質の高いコンテンツ制作などを行います。

逆SEOとは、既に上位表示されている外部のWebサイトやページの順位を下げるための対策方法です。おもに自社(個人の場合は自分)にとってのネガティブな情報や悪意のある書き込み、誹謗中傷などの情報が掲載されたWebサイトやページに関して、ユーザーの目に触れる可能性を少しでも低める、という目的をもって行います。誤った情報の拡散や風評被害の影響拡大防止が逆SEOの主な目的です。

逆SEOはSEOと同じく、倫理や法律に反さない範囲で、検索エンジンのガイドラインにも準拠しながら行うのが特徴です。

▼逆SEOについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
逆seo 対策

「ネガティブSEO」は、他者に被害を与える不当な手法

ネガティブSEOは逆SEOと似ている施策であるものの、手法や目的が異なります。

ネガティブSEOの概要について解説します。

ネガティブSEOとは

ネガティブSEOとは、検索エンジンの検索結果順位において、自社や自分にとって不利益な情報が含まれる外部のWebサイトの順位を下げるという目的のほか、競合他社やライバルサイトの検索順位を下げるなどの目的でとられる施策・行為を指します。


逆SEOと異なり、ネガティブSEOは違法性が高く、検索エンジンのガイドラインにも反する手段を講じることがある、という点が特徴です。

ネガティブSEOをおこなえるツールなどもあるが、使用者が法に触れてしまうリスク大

ネガティブSEOを実施してしまうと、不法行為責任による損害賠償請求により、責任が問われる可能性があります。ネガティブSEOは、法律上保護される「検索エンジンからの評価を阻害されないという利益」を阻害する行為に該当する、と判断されることがあるためです。

世間で配布されていたり販売されていたりする様々なSEO関連ツールのなかには、ネガティブSEOの施策ができるツールもあります。ただし、ネガティブSEOは基本的に不正行為であり、法律に触れるリスクがあることを覚えておきましょう。

ネガティブSEOと逆SEOの違い

ネガティブSEOと逆SEOはいずれも、対象とする外部のWebサイトやページの検索順位を下げる手法ですが、目的や本質に大きな違いがあります。
ネガティブSEOと逆SEOの明確な違いを説明します。

「ネガティブSEO」はやってはいけない

ネガティブSEOは、検索エンジンのガイドラインに反する、または状況によっては違法となる行為によって、検索順位を下げるという手法です。
具体的には、以下のような行為を行います。


・スパムリンクの大量生成
・対象となるサイトをコピーしたサイトの大量複製
・虚偽のDMCA申請を行う など

スパムリンクの大量生成やコピーサイトの複製は、対象となるサイトが検索エンジン側から「悪質なサイト」と判断される可能性が高まり、そのことによって検索順位が下がるということを狙って行われます。

また虚偽のDMCA申請(DMCAについては後述します)を行うことで、無実のサイトやURLが著作権侵害として削除されることもあります。

いずれの手法も、対象となるWebサイトやページを不当な手段を用いて攻撃するという行為を行っているという点が、ネガティブSEOの特徴です。

「逆SEO」は正当な理由のもとでおこなえば問題ない

逆SEOは、正当な理由や方法でWebサイトや対象ページの検索順位を下げる方法です。

たとえば以下のような手段を講じます。


・質の高いコンテンツや改善などで自社側のサイト・コンテンツを上位表示させ、相対的に対象のサイト順位を下げる
・不当、違法なネガティブ情報の削除依頼申請を正当な手続きをもって行う

逆SEOは、ネガティブな情報や悪口などが掲載されたWebサイトやページの検索順位を下げることで、情報の拡散や誹謗中傷を防ぐのが目的です。

検索順位を下げる方法は、いずれも検索エンジンのガイドラインを遵守しつつ、違法ではない手段を活用します。

掲載されているネガティブな情報が事実無根である場合、風評被害の原因となる情報について運営者側や情報発信者へ削除依頼するという対処方法もあります。

逆SEOはネガティブSEOと比較すると、技術的および法的な面で難易度の高い施策や手段を講じるため、時間や手間がかかります。その分誹謗中傷や風評被害の拡大防止に効果を発揮しやすいのがメリットです。

悪意のある書き込みやネガティブな情報により個人や会社の社会的評価の低下や、精神的なダメージを受けてしまっているなどの実害が発生しているときには、逆SEOを検討するのが有効な選択肢となります。

法律や検索エンジンのガイドラインに反してまでネガティブSEOをおこなったとして、その効果のほどは?

疑問を浮かべる男性

ネガティブSEOは、法律や検索エンジンのガイドラインに違反する行為です。

違法性があるのにやっている人がいるということは、それだけ即効性や高い効果があるものなのか? と考える人もいるかもしれません。

以下では、実際的なネガティブSEOを行った場合の効果について、参考となる情報をいくつか紹介します。

検索エンジン最大手Googleでは、効果をさほど得られないとの声明あり

検索エンジン最大手であるGoogle社のアナリスト、ゲイリー・イリェス(Gary Illyes)氏は、ネガティブSEOによる効果は低いと考えられるという旨を、2024年5月の声明で発表しています。「スパム的なリンク構築によるネガティブSEOは現在でも人々へ害を及ぼすのか、それともGoogleはネガティブSEOを排除したのか」と投げかけられた質問に対して、イリェス氏は「はい」と答え、以下の声明を出しています。

”Around the time we released Penguin, there was tons and tons of tons of complaints about negative SEO, specifically link based negative SEO and then very un-smartly, I requested examples like show me examples, like show me how it works and show me that it worked.

And then I got hundreds, literally hundreds of examples of alleged negative SEO and all of them were not negative SEO.”
(要約:ペンギンアップデートのリリース時、ネガティブSEOのうち、特にリンクベースのネガティブSEOに関する苦情が多くありました。私は実例やどのように機能するか、実際に機能したかどうかなどの情報を要求し、収集しました。
私は何百件ものネガティブSEOとされる実例を収集したうえで分析しましたが、そのすべてがネガティブSEOというわけではありませんでした。)

ネガティブSEOを講じてもGoogleでの検索結果との因果関係は小さく、ほとんど効果が出ないと考えられる、という主旨の発言がなされています。

参考:Search Engine Journal「Google Gives Exact Reason Why Negative SEO Doesn’t Work」
https://www.searchenginejournal.com/google-explains-why-negative-seo-is-ineffective/521430/

検索エンジン側のアルゴリズムとしても、ネガティブSEOを防ぐ対策が導入されている

さらにGoogleには、ネガティブSEOを防ぐためのアルゴリズムが搭載されているとも発表されています。

”If you see links from completely irrelevant sites, be that p–n sites or or pure spam sites or whatever, you can safely assume that we disabled the links from those sites because, one of the things is that we try to match the the topic of the target page plus whoever is linking out, and if they don’t match then why on Earth would we use those links?”
(要約:完全に無関係なサイト、あきらかなスパムサイトなどからのリンクが表示された場合、それらのサイトからのリンクを無効として処理していると考えて問題ありません。対象ページのトピックとリンクを、元のサイトと一致させようとアルゴリズム側で処理しているのが理由です。それらが一致しない場合、そういったリンクを判断材料としてはいけないでしょう?)

Googleでは、リンク元のサイトのコンテキストを調べてリンク先のサイトと比較したうえで、一致がみられない場合には、検索順位の判断基準となる「PageRankシグナル」を渡さないというアルゴリズムを長期間提供しています。

もし、自社サイトがネガティブSEOを受けてしまったら?

悩むビジネスマン

自社サイトがネガティブSEOによる攻撃を受けて、検索順位が低下してしまうということがありえます。

以下では、自社サイトがネガティブSEOを受けてしまった場合の対処方法や解決方法を解説します。

悪質なスパムリンクの有無を調査する

ネガティブSEOの影響を受けたと思われたときには、まず被リンクの状況を確認しましょう。

代表的な被リンク状況のチェック方法に、「Googleサーチコンソール」の活用があります。

以下の手順で悪質な被リンクやスパムリンクの有無を調査しましょう。

1.Googleサーチコンソールにログイン
2.左サイドメニューから「リンク」を選択
3.上位のリンク元サイトをクリック
4.「詳細」をクリック
5.リンク数の多いサイトから被リンク元サイトを確認する

健全なリンクは関連サイトや顧客、クライアントサイトからのものです。

以下のような不審なサイトからの被リンクが多い場合には、ネガティブSEOの攻撃を受けている可能性があります。


・アンカーテキストが自社サイトとまったく無関係のサイト
・コンテンツや重要な内容をまったく伴わないサイト
・自社と無関係な、海外ドメインのサイト

悪質な被リンクがみられたら、リンク否認を設定する

不審なリンクはGoogleサーチコンソールを通じて否認することで、サイトへの影響を最小限に抑えられます。

サーチコンソール内の「このページの問題点をお知らせください」の項目から該当する理由を選択し、リンク否認を設定しましょう。

DMCAに関するメールが届いてしまっていないか確認する

DMCA(Digital Millennium Copyright Act)とは、アメリカで施行されているデジタルコンテンツの登用防止を目的とした法律です。Webサイトがほかのサイトからのコンテンツを不正使用していると判断された場合、著作権者からDMCA通知が出されます。DMCA通知が出されると、Googleから当該サイト運営者に対して、DMCA通知に基づく削除リクエストに関するメールが届きます。

DMCA通知に基づいたリンク削除のリクエストは、ネガティブSEOの手法として悪用されることがあります。Googleから自社へDMCAに関するメールが届いていないかを確認し、もし届いてしまっていたら事実に基づき丁寧に対処することで、ネガティブSEOへの対処および法的な問題回避にもつながります。

検索エンジン側へ報告し、自社サイトのペナルティを回避する

悪意のある第三者によるコピーコンテンツの作成といったネガティブSEO攻撃を受けたときに有効なのが、Googleへのスパム報告です。Googleサーチコンソール内の「スパム報告ツール」にて、不正なコンテンツやスパム行為を報告できます。

問題のあるウェブサイトやページのURLと、具体的な問題点をしっかり明記して報告しましょう。スパム報告を行うことで、Googleから自社サイトが不利な評価を受けるのを防げます。ただし、報告してからすぐに結果が出るわけではありません。報告を検討している方は、早め早めに対応するようにしましょう。

「SEO」と「逆SEO」で引き続き自社コンテンツの検索順位向上をはかる

ネガティブSEOへの対処を行ったら、引き続きSEOや逆SEO対策を行い、自社コンテンツの検索順位向上をはかりましょう。自社の正当なコンテンツで検索結果上位を占められれば、それが最も有効な方法となります。

ネガティブSEOではない、正攻法の「逆SEO」を実施するメリット

電球が書かれたメモ

自社にとって不利益となる外部サイトの検索順位を下げるための手法として、違法性の高いネガティブSEOではなく、正攻法の逆SEOを実施するメリットを順に解説します。

適切な方法で自社や自分に関するネガティブな情報の表示順位を下げられる可能性がある

逆SEOを実施することで、自社にとって迷惑な情報やネガティブな情報を記載したWebサイトの検索順位を下げられます。対象サイトのユーザーの検索数や訪問数を減らせるため、誹謗中傷や風評被害の原因となるネガティブな情報の拡散防止が期待できます。

対策の過程で自社コンテンツの充実度が高まり、自然なSEO効果を得られる

逆SEO対策を行う過程では、自社コンテンツの制作やサイトの改善などのSEO対策も合わせて行うことで、自社サイトの検索順位を高めることにもつながります。

ネガティブな情報を記載した競合サイトの順位が下がるだけでなく、自社コンテンツの質が高まることで、自然なSEO効果を得られるのもメリットです。

悪質な誹謗中傷や風評被害に対しては削除申請などで対応できる

ネガティブな情報の中でも、悪質な誹謗中傷や風評被害、事実無根の悪評拡散などであった場合には、サイト運営者や情報発信者へ削除申請を同時に行うことも大切です。

逆SEOの施策と削除申請を同時に進行させることもできます。

逆SEOを実施する場合の注意点

ポイントを説明する女性

違法性のある行為を含まない逆SEOは基本的にメリットが多いものの、前提知識が不足したまま実施してしまうと、場合によってはリスクが生じてしまうこともあります。

逆SEOを実施する場合に最低限覚えておきたい、いくつかの注意点を解説します。

逆SEOであっても、検索エンジンのガイドラインに違反していないかはこまめにチェックが必要

世間一般的に逆SEOと称される手法の中でも、状況によっては検索エンジンのガイドラインに反してしまうものがあります。

たとえばGoogleでは検索エンジンのガイドラインを定期的に更新しているため、スパム行為などの明らかな違反行為にあたらないと考えられる場合でも、逆SEOを実行する際には各検索エンジンの最新のガイドラインをしっかりと確認しておきましょう。

検索エンジンのアルゴリズム変更などに合わせて、継続的な対応が必要となる

検索エンジンのアップデートによりアルゴリズムが変更になると、今まで講じていた逆SEOの手法の効果が低くなってしまう、あるいは逆効果になってしまうといったこともありえます。

アルゴリズム変更に都度チェックし対処するなど、逆SEOは継続的な対応が必要です。

状況ごとに適切な施策をとれなければ、コストだけがかさんでしまうことも

逆SEOは検索順位の低下に大きな効果が出る施策である一方、施策の実行には専門的な知識やスキルが必要で、かつ手間もかかります。

状況ごとに適切な施策を行わないと、費用だけが無駄にかさんでしまう可能性もあります。

「逆SEO」をしっかりおこないたい場合には、プロに任せることがポイント

対策のプロのイメージ

自社での逆SEOの実施やネガティブSEOへの対処が難しい場合には、プロである専門業者へ任せることをおすすめします。

逆SEO対応事業者は、検索エンジン側のアルゴリズムや関連法令を熟知しており、適切かつ効果的な逆SEO施策を実行できます。

たとえば、ネガティブな情報の記載されているサイトの検索順位を下げるほか、削除が難しいとされるサイトへの対策も可能です。

実際に多数の実績を積んでいる専門業者であれば、委託する費用が発生してもそれに見合うだけの大きな効果が得られます。

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まとめ

ネガティブSEOは一般的に不当にあたる行為! 自社コンテンツの上位表示のためには「SEO」と「逆SEO」を

本記事ではネガティブSEOと逆SEOの違いやそれぞれの概要、逆SEOのメリットや実施するときの注意点などを網羅的に解説しました。

ネガティブSEOはツールなどを使用して行える施策である一方で、違法性が高い不当行為にあたります。

ネガティブSEOを行うことであまり効果が得られないだけでなく、検索エンジンからの評価が落ちたり、違法性から訴訟に発展したりといったリスクが発生する可能性もあります。
自社コンテンツの上位表示や風評被害防止には、正攻法であるSEOや逆SEOによる施策の実施が有効です。